京葉流通倉庫が菓子向けにトラック予約システム運用
京葉流通倉庫(本社・埼玉県戸田市、箱守和之社長)では、独自のトラック入構予約システムを開発した。荷主の菓子メーカーの意向をとり入れ、埼玉県内の物流センターで運用を開始。他のセンターへの水平展開も検討する。ペット用品の物流センターでは、棚移動ロボットの導入準備も進めており、強みである情報システムに新技術の活用も加えることで、顧客とのパートナーシップを強化する。
新たな物流拠点「つくば営業所」も開設
菓子メーカーの菓子、飲料を扱う白岡第1営業所(埼玉県白岡市)は構内が狭く、納品するトラックが施設の周辺で待機していることがあった。また、受付が到着順のため、早く到着して待機するケースもあり、ドライバーの長時間拘束が課題となっていた。
そこで、京葉流通倉庫では菓子メーカーの賛同を受け、トラック入構予約システム「QueLuckCar(クラッカー)」を開発。4月から運用を開始した。システムはインターネットとメール機能を主とし、シンプルさと使いやすさに配慮した。
予約の対象は納品(入庫)のトラックで、翌日の入庫予定車両台数と積載方法(バラ積み・パレット)に応じて、倉庫側で予約枠を30分ごとに設定。メーカーの希望で「早く下ろしてほしい」トラックに関しては別途優先予約枠を設ける。
優先予約枠以外の予約枠が入庫前日の予約登録受付開始時刻に開示され、ドライバーがスマホや携帯電話などから予約登録。当日、ドライバーは到着後、事務所に行くことなくメールで受付を完了し、予約時間になると倉庫からメールでバースに誘導される。
「どのトラックが、何を積んで、何時に到着するか」が分かるため、倉庫側の作業の効率化につながっている。受付から荷下ろし完了までの時間が“可視化”され、ドライバーの作業効率改善にも役立てられる。
今回のシステムは菓子メーカーの意向もとり入れた機能を搭載しており、他の物流拠点でも導入を検討しているという。また、京葉流通倉庫でもタイヤを扱う物流センターなど他の拠点にも水平展開する考え。
労働力不足や人件費の上昇を踏まえ、ロボット化にも取り組む。人手を要するピースピッキングをターゲットに棚移動ロボット導入を検討。アイテム数が1万2000SKUにのぼるペット用品への適用を想定している。
なお、来年2月には、菓子原料メーカー向けの新たな物流拠点として「つくば営業所」(茨城県つくば市)を開設予定。延床面積約8250㎡の定温倉庫で、うち330㎡は冷蔵スペースとする。
現在、同メーカーでは京葉流通倉庫の既存拠点も含め、原料、製品、冷蔵品を4ヵ所に分散して保管しているのを、新設する「つくば営業所」に集約。両社の連名により、物流総合効率化法の認定申請も計画している。
また、HACCP義務化を盛り込んだ改正食品衛生法を踏まえ、食品製造を行う大宮PDセンター(さいたま市西区)でJFS‐B規格の認証取得を目指すほか、サプライチェーン全体の環境・社会リスク管理手法である「SEDEX」の登録も視野に入れる。
京葉流通倉庫では1979年からWMS(倉庫管理システム)をはじめとする情報システムの開発に取り組み、幅広い業種・業態の顧客を対象に多様な物流業務に対応するシステムを構築。倉庫への移動ラックの導入も70年代と早かった。
出版流通では、インターネットで出版社と書店が受発注を行える「K‐Web」を提供するなど情報システム力が強みとなっており、ロボットなど新技術についても先行投資を行うことで顧客とのパートナーシップ強化につなげたい考えだ。
(2018年10月18日号)