日立物流とAITが資本業務提携で海上FWを強化
日立物流(本社・東京都中央区、中谷康夫社長)とエーアイテイー(AIT、本社・大阪市中央区、矢倉英一社長)は10日、資本業務提携すると発表した。来年3月1日付でAITと日立物流の100%子会社である日新運輸(本社・大阪市此花区)が株式交換し、AITが日新運輸を完全子会社化する。同時に日立物流はAITの株式20%を保有し、同社を持分法適用会社にする。
AITは日中間の海上フォワーディングを得意とし、とくにアパレル・雑貨に強い顧客基盤を持つ。2018年2月期の売上高は約251億円、営業利益は約15億円。一方、日新運輸も日中間の海貨フォワーダーとしてアパレル分野に強みを持ち、検品・検針など流通加工にも定評がある。18年3月期の売上高は約140億円、営業利益は2億円。
両社合計の海貨取扱量は年間25・8万TEU(AIT20万TEU、日新運輸5・8万TEU)。このうちAITは中国出しの輸入フォワーディングが約8割の約16万TEUを占めており、両社が協業することで、日中間の海貨フォワーディング取扱量ではトップランクになり、高い購買力を持つことになる。また、日立物流との協業により、中国の工場から日本国内の納品先まで、シームレスな一貫物流体制が構築できる。
3PL強化につながるフォワーディング事業に
10日に都内で行われた記者会見でAITの矢倉社長は「創業以来、右肩上がりで成長してきたが、ここ数年は成長が鈍化し、危機感を持っていた。再び成長軌道に戻すためには、アライアンスが必要だった」と述べた上で、「日新運輸は創業当初、憧れの会社だった。今回の話を聞いた時、大きなシナジーが生まれると感じ、万難を排してでも成就させたいと思った」と語り、高い期待を見せた。
日立物流の中谷社長は、今回の資本業務提携の狙いについて「当社のコア業務である物流領域、なかでもフォワーディング事業をシェアリングという切り口で強化していく」とした上で、「コア事業である3PLの強化につながるフォワーディング事業にしていきたい」と述べ、今後は日立物流バンテックフォワーディングが展開する航空フォワーディングとの連携や北米、欧州、ASEANへの展開、さらにはアパレル・雑貨物流のプラットフォーム化などにつなげていきたいとした。
さらに、AITへの出資を20%にしたことについて、「日立物流にとって、フォワーディング事業は必ずしも強い事業ではなく、必要だったのは強いパートナー。そう考えた時に、AITと日新運輸は一体的に組むべきであり、その強みを利用して3PLを強化していくべきと考えた。20%を出資してAITの経営について責任の一端を持つが、必ずしもマジョリティにこだわる必要はない」と語った。
(2018年10月16日号)