ワコール流通が返品仕分け作業に自動化システム導入
ワコール流通(本社・滋賀県守山市、牧邦彦社長)は、「伏見流通センター」(京都市伏見区)で行っている返品仕分け作業に、カメラ認識方式による自動仕分け表示システムを導入した。アルゴリズムを設定し、商品ラベルに点在している各種情報をカメラで自動的に読み取ることによって、熟練者でなくても複雑な返品仕分け作業に従事できるようになり、障がい者雇用の拡大にもつながる。
作業負担減り、障がい者雇用の拡大にも
ワコールでは、店頭で売れ残った商品については翌年以降、5年間を最長として再販する。シーズンオフには大量の商品が流通センターに返品され、1日の作業量は3万件以上に上り、商品ごとに設定される再販価格やサイズ、色によって返品仕分け先が決まる。従来は商品知識のあるベテランのスタッフが従事していたが、目視と手作業のためミスも発生していた。
全国からの返品の受け入れ拠点となる「伏見流通センター」で6月から運用開始したのが、大日本印刷(DNP)と共同開発した、カメラ認識方式による自動仕分け表示システム。商品ラベルをカメラで読み取り、印字された品名・サイズ・製造年により仕分け先を自動的に判別し、モニターに仕分け先の番号を大きく表示させることによって、楽に仕分けできるようになる。
商品ラベルのカメラでの読み取りは0・7秒程度。システム導入により、目視確認の回数が計上業務で10回から1回に、再生業務で7回から1回に削減。目視は商品の汚損などの検品のみとなった。仕分け先の箱の色を変えることで、入れ間違いを防止し、10枚を束にして輪ゴムでまとめる作業には独自の治具を活用するなど、効率化に向け“アナログ”的な工夫も取り入れている。
従来、返品仕分け作業は熟練度の高いベテランスタッフに依存していたが、属人化や判断ミスも課題となっていた。システムの導入によって作業の負担が減ることから、部門外のスタッフや派遣社員でも簡単に従事できるようになり、障がい者の職域拡大にもつながると期待されている。同システムは4セット導入しており、今後は必要に応じて音声指示機能の追加も検討していく。
(2018年9月20日号)