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西日本豪雨で西日本発着のトラック運賃急騰

2018.08.07

7月に発生した西日本豪雨による被害で、鉄道貨物輸送の不通が続くなか、西日本地域でのトラック運賃が急上昇している。求荷求車システム「WebKIT」を運営する日本貨物運送協同組合連合会(日貨協連)の調べによると、愛知県以西の西日本でのトラック運賃は、災害が発生した7月8日以降に急上昇し、成約運賃指数は調査以来最高値となる「130」になっていることが分かった。

WebKITの運賃指数は最高値を更新

日貨協連によると、積地または卸地が愛知県以西の輸送における7月の成約運賃指数は、災害発生前(7月1日~7日)で「120」だったものが、8日以降「130」まで上昇。これは全国調査で最高値を記録した17年12月の「127」を上回っている(指数はすべて10年4月を「100」とした比較)。
ちなみに前年の同時期(7月8日以降)の指数は「117」となっており、例年よりも10pt以上高い運賃指数となっている。

関東~九州、関西~九州の幹線物流は、ただでさえトラックが確保しにくく、鉄道やフェリーへのモーダルシフト需要が高い区間。そこに鉄道コンテナ輸送の長期不通という状況が加わったことで、トラック需給がかなり逼迫していることがうかがえる。

荷主企業も鉄道に代わる代替輸送の確保で苦慮している。「フェリーの輸送枠もほぼ一杯で、九州向けのトラック運賃は“言い値”のような状況になっている」という。

大動脈・山陽線の運転再開は10月中に

一方、豪雨災害で山陽線という幹線が複数箇所にわたって寸断されたJR貨物では、線路を保有するJR西日本とも協力しながら早期復旧に全力を傾注している。

7月31日現在の不通区間の運転再開見込みは、山陽線で10月中。当初は11月中の復旧予定だったため、約1ヵ月早まることになったが、それでも運転再開は2ヵ月以上先となる。

JR貨物は現在、通運事業者とも協力しながらトラック・フェリーによる代行輸送力の確保にも注力しているが、確保できた輸送力は限定的。関係者からは「全国から集めるドライバーの宿泊所の確保が難しい」といった声が聞かれる。

また、伯備線が1日から運転再開となり、山陰線を経由した迂回ルートも確立された。ただ、山陰線は未電化区間があり、ディーゼル機関車が必要になるため、輸送力には限界がある。

しばらくは、西日本地区でのトラック運賃上昇は止まりそうにない。
(2018年8月7日号)


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