トランコムが物流情報事業を今期も拡大へ
トランコム(本社・名古屋市東区、恒川穣社長)は今期、物流情報サービス事業(求貨求車事業)において中ロット貨物のマッチング事業を拡大する。前期、東名阪の専用センターだけで取り扱っていた中ロット貨物を、全国28ヵ所あるチャーター部門の情報センターまで展開することで、前期30数億円程度だった中ロット部門の収入を拡大する。また、物流情報サービス事業全体についても、マッチングを担当するアジャスターの人員や情報センターの拠点数もさらに拡充していく考え。4月27日に都内で開催された決算説明会で恒川社長は「成約件数と伸びと人員数の伸びは比例している。ICT活用による効率化にも力を入れていくものの、現時点では人員と情報センターの拠点数を増やすことが、トランコムとしての優位性を確保する道になる」との認識を示した。
同社の2018年3月期における物流情報サービス事業は、売上高780億3600万円(前期比6・9%増)、営業利益31億800万円(8・2%増)となり増収増益。マッチング成約件数は前期比5・1%増の約131万台と順調に増えた。ただ、貨物情報は10・1%増と大きく伸びた一方、空車情報は6・0%減となり、トラック需給が逼迫した下期を中心に車両の確保に苦戦した面もあった。
その中で今期は、マーケットに潜在する中ロット貨物の取り込みをさらに拡大する。これまで東京・名古屋・大阪の専用情報センターで中心的に取り扱ってきた中ロットの求貨求車情報を、全国28拠点の情報センターに広げ、チャーター部門との連携を強化する。「チャーター車両の空いたスペースに中ロット貨物を〝アドオン〟していく形で取り扱いを増やしていきたい」(恒川社長)という。
また、近年、スタートアップ企業を中心にICTを駆使した求貨求車システムが数多く立ち上がっていることについて、「物流業界は中小事業者も多く、まだまだ自動マッチングよりは電話による作業のほうが早い。アジャスターの人員増や情報センターを拡大する余地は残っている」(同)として、前期末で540人となったアジャスターのさらなる増員や情報センターの増設で成約件数を伸ばしていく方針。
今期(19年3月期)の物流情報サービス事業は、売上高830億6000万円(前期比6・4%増)、営業利益32億2000万円(3・6%増)を目指す。
18年3月期は増収増益LM事業の収益性改善
同社の18年3月期連結業績は、売上高1417億2800万円(6・3%増)、営業利益59億4400万円(4・6%増)、経常利益59億900万円(6・6%増)、当期純利益36億2200万円(2・3%減)で増収増益となった。
物流情報サービス事業を除く主要事業では、ロジスティクスマネジメント(LM)事業が売上高471億6200万円(0
・7%増)、営業利益28億6500万円(5・9%増)となり、収益性が改善。インダストリアルサポート(IS)事業は売上高82億2100万円(4・2%減)、営業利益8300万円(38・1%減)となり減収減益。その他事業は売上高98億7200万円(52・2%増)、営業利益8900万円(54・6%減)。中国法人やタイ法人の連結化による寄与があった一方、タイ事業における初期コストなどが利益を圧迫した。
19年3月期は、売上高1502億4000万円(6・0%増)、営業利益70億7000万円(18・9%増)、経常利益69億8000万円(18・1%増)、当期純利益46億1000万円(27・3%増)と増収増益を見込む。
(2018年5月8日号)