近物レックス／ＪＰ口ジ、物流ネットワークの補完・共創へ提携

近物レックス（本社・静岡県清水町、堀内悟社長＝写真左）とＪＰロジスティクス（本社・東京都千代田区、長谷川実社長＝写真右）は12日、業務提携に関する合意書を締結した。物流業界の課題を解決し、さらなる顧客の利便性向上のため、相互の経営資源の活用による国内輸送サービスの提供および持続的なビジネスモデルを構築するのが狙い。業務提携による物流ネットワークの補完・共創を通じ、両社の事業成長とともに、物流業界の発展に寄与する取り組みを継続して推進する。具体的には、①施設の共同利用②近距離支店間での共同配送③自社整備工場における相互整備――に加え、新たな提携分野の開発にも積極的に取り組んでいく。

施設を共同利用、近距離支店間で共同配送も

慢性的なドライバー不足をはじめ、燃料価格の高騰、従業員の働き方改革および時間外労働への上限規制が強まる「２０２４年問題」など山積する課題に対応するための業務提携。東日本に強みを持つ近物レックスと西日本に強みを持つＪＰロジスティクス（１日にトールエクスプレスジャパンから社名変更）が、両社の地域的な強みを最大限に活かしつつ、両社が持つリソースをシェアし、物流業界の課題を解決するアプローチが必要という共通認識のもと、業務提携を推進する。業務提携合意書の調印式には、両社の経営幹部が出席した。

具体的な施策として、物流拠 点の確保、拠点スペースの有効活用および運送便の効率化等を目的として、既に千葉、静岡、愛知県下で施設の共同利用を開始しており、新たなエリアへの展開も検討。両社の支店間距離が近い施設でも配送エリアを相互に割り振り、事前に荷物を受け渡しすることで、これまで重複していた配送業務の効率化を実現する。また、整備対象車両の所在地の状況から、両社間で最寄りの整備工場で整備を行えるようにし、整備車両の回送距離の削減等を図る。

一層の連携を深め、物流業界の課題を解決

ＪＰロジスティクスの長谷川社長は、「当社は４月１日から社名をＪＰロジスティクスと改め、ＪＰグループのＢｔｏＢを担う企業であることを明確にするとともに、国内運送事業に加え、従来ＪＰトールロジスティクスが行っていたフォワーディング事業、コントラクトロジスティクス事業も一体的に行う体制となった。これまでも力を入れてきた国内運送事業のネットワーク強化の一環として、今回、近物レックス様との業務提携をより一層強化することとした」と説明。

続けて、「東日本に強みを持つ近物レックス様と、西日本に強みを持つ当社は、両社の物流ネットワークの補完・共創を行ううえで大変重要なパートナーであり、従来から良好な関係を築いてきた。これまでにもすでに双方の物流施設の共同利用、近距離支店間での共同配送、自社整備工場での相互整備などを共同で行ってきたが、今後はこうした既存の提携分野のより一層の深化に加え、幹線便での協業、営業の共同提案など新たな分野でも提携に取り組みたい。一層の連携を深め、物流業界の課題を解決し、お客様のさらなる利便性向上、持続可能な社会を実現していく」と述べた。

地域的な強みを最大限活かす輸送体制構築

近物レックスの堀内社長は、「今回調印した業務提携合意書に関して、路線事業を主力とする物流会社として、ネットワークの補完・共創を通じ、貨物自動車運送事業に関する課題解決と事業成長を推進していくものと確信している。今後も協業に向けた検討や情報交換の機会を設け、両社の企業価値を高めるために様々な分野での連携協力が必要となる。そのためにも両社それぞれ地域的な強みを最大限に活かす輸送体制を構築していきたい」と意欲を見せた。

業務提携の最大の効果として効率化を挙げ、堀内氏は「同じような悩みを持つ両社が協業することでローコスト運営を推進する」、長谷川氏は「効率化できる新たな分野を検討し、支店間の共同配送など現在実施している取り組みも広げていく。次のステップとして共同営業も検討したい」と強調。業務提携の推進体制では、１ヵ月に一度、両社のプロジェクトメンバーが定例会議を持ち、３ヵ月に一度、経営陣が業務提携の効果の報告を行うとし、「トップダウンというよりも現場からアイデアが出てくる」（長谷川氏）と期待を寄せた。

また、幹線便の共同化への考え方として、堀内氏は「現場である支店単位で（共同化を）始めなければ幹線便の領域まで入り込んでいけない。ただ、幹線便は路線業者にとって大きなコストを占めており、効率化を考えると（共同化の方向を）模索していく必要がある」と指摘。長谷川氏は「まったく別々の所から出る幹線便を一本化するとなると、横持ちが必要になる。施設の共同利用などから着手し、それが実現できれば、そこから集配や幹線便の取り組みにつながっていく」と語った。
（2023年4月18日号）