NXHD海外事業/22年12月期1Q 運賃高や活発な需要で増収増益
NIPPON EXPRESSホールディングス(本社・東京都千代田区、齋藤充社長)は19日、オンライン会見を開き、海外事業の2022年12月期第1四半期業績を発表した。前期に引き続き旺盛な航空輸送需要を取り込むとともに、航空・海上それぞれの運賃の高止まりを受け、売上高は大きく伸長した。売上高は2026億円(前年同期比42・9%増)、営業利益は140億円(46・8%増)と大幅な増収増益を確保した。リージョン別にみると米州、欧州、南アジア・オセアニアは増収増益となり、東アジアは増収となったものの航空・船舶の利用費高騰などにより利益は微減となった。
会見に出席したグローバル事業本部グローバル事業統括部担当の柿山慎一執行役員は「航空スペースと海上コンテナの不足や米国の港湾混雑の影響を受け、運賃は海空ともに高止まり傾向にある。一方、ロシアのウクライナ侵攻により欧州発着の飛行ルートが制限され、航空輸送キャパシティは減少するなど市場の不透明感が増している」と現在の物流環境を説明。その上で「当社グループでは海空フォワーディングにおいて、自動車関連、電機電子、医療・医薬品、通信、半導体関連などの出荷が堅調に推移した。その結果、前四半期に続き、大きく前年を上回る業績となった」と総括した。
米州は航空輸出入で自動車関連が好調。海運輸入は米国西海岸の港湾混雑や内陸の鉄道ターミナル混雑によるトランスローディング需要を取り込んだ。倉庫配送は電機、アパレル、自動車関連が堅調に推移した。
欧州は航空輸出で自動車関連、医療機器関連、嗜好品、ファッション関連が堅調に推移。ウクライナ情勢を受けての航空スペース不足には日本向けチャーターを実施。海運では運賃高騰の影響で増収となった。
東アジアは航空輸出で自動車関連、電機電子関連、EC、医療関連、半導体関連で好調な荷動きが持続。海運は運賃の高止まりを受けて大幅な増収。一方、利益面は航空・船舶の利用費高騰や前年にあった大型航空スポット取り扱いの反動減により微減となった。
南アジア・オセアニアは航空輸出・海運輸出ともに日米向けを中心に自動車関連、精密機器、電気電子などの部材が引き続き高い需要を示し、増収増益。倉庫配送では消費財の新規取り扱いを獲得したことが業績に貢献した。
今後の見通しについて柿山氏は「ウクライナ情勢の長期化により欧州発着の航空キャパシティ不足が継続するとみている。また、中国では現在の上海地域のロックダウンが荷動きに深刻な影響をおよぼしている。ロックダウン解除後に急激な貨物増が予想され、海上・航空ともスペース確保が困難になると見込まれる。そうした状況にあっても、お客様のサプライチェーンを維持するため、スペース確保に万全を期して対応を図っていく」と展望した。
(2022年5月26日号)