セイノーHD、ロジトランス拠点の新設稼働を加速
セイノーホールディングス(本社・岐阜県大垣市、田口義隆社長)は、中期経営計画(2021年3月期~23年3月期)に掲げる重点施策のひとつ「ロジのSEINOへの新化」に向けて、ロジスティクス機能とトランスポート機能を兼ね備えた複合型物流拠点「ロジトランス拠点」の新設稼働を加速させる。19日にWeb開催された22年3月期第2四半期の決算説明会で田口社長が方針を示したもの。物件の取得方法についても、従来は自社物件を基本としていたが、「とくにロジは施設が必要であり、自社所有と賃貸物件をあわせて探していく」との考えを述べた。
今期賃貸で3施設を開設期中には満床稼働へ
22年3月期2Qは西濃運輸が7月に「印西倉庫」(千葉県印西市、倉庫面積約1・9万㎡)、9月に「相模原支店」(神奈川県相模原市、8640㎡)を開設するとともに、濃飛西濃運輸が8月に「各務原川島物流センター」(岐阜県各務原市、5500㎡)を稼働。いずれも賃借物件で、今期中にはすべて満床になる予定としている。その上で、今下期から来期にかけては来年2月に龍ヶ崎支店(茨城県阿見町、8700㎡)、同春には名古屋西支店(愛知県あま市、延床面積2・8万㎡)を移転・新設する計画。両施設は自社物件となる。
中期計画では物流施設の総延床面積を21年3月期に11万坪、22年3月期に15・1万坪、23年3月期には20・6万坪へと段階的に拡張する計画としており、その進捗について西濃運輸の小寺康久社長は「ほしい場所で用地が入手できなかったり、賃貸物件と(条件が)折り合わなかったりなどして若干の遅れが出ているが、(中計最終年度までの)残りの期間でなんとか追いつきたい」と状況を説明した。
これらの施設を活用した高機能ロジスティクスサービスを展開するとともに、荷主企業に対しては、今年4月から物流コンシェルジェサービス「IPPO」も提供を開始。パートナー会社の選択、連絡からトレースなどの問い合わせまですべて西濃運輸がワンストップで対応するもので、小寺社長は「現在はセイノーグループの関係会社を中核として進めているが、同業他社にも対象を広げたい」との意向も示した。
ロジスティクスサービスを支える実輸送機能の強化に向けては、BtoB物流において「セイノー輸送なびPro」の利用が拡大。特積みの優位性である廉価性とセイノーグループの輸送力を組み合わせることで、同業他社が敬遠しがちな「中ロット・異形物」の安定輸送サービスを提供し、22年3月期第2四半期の決算でも、同サービスの拡大から中ロット貨物の取扱いが伸長し、輸送事業の売上を押し上げた。
加えて、同期中には関西を中心に3温度帯輸送サービスなどを展開する丸久運輸(本社・和歌山県かつらぎ町)を子会社化しており、傘下の大阪高速乳配との協業により、利便性と廉価性を備えた3温度帯輸送の実現を図る。このほか、ワクチンの2次配送も全国80の自治体から受託し、こうしたノウハウを、検体や特殊医薬品などのメディカル分野にも展開したい考えだ。
2Q決算は計画未達も外注費抑制で大幅増益
なお、説明会に先駆けて12日に発表した2022年3月期2Q決算は、新型コロナの影響を大きく受けた前年同期から物量の回復が見られたことや、輸送の内製化などのコストコントロール施策が奏功したことで増収2ケタ増益を達成。一方で、期初計画比では売上高・利益ともに未達となった。下期は計画値を維持したまま、上期マイナス分をそのまま織り込む形で通期予想を下方修正した。
主力の輸送事業は主要荷主産業の製造業が前年同期の大幅な落ち込みから回復して、全体の数字を押し上げたほか、中ロット貨物の獲得も寄与。ただ、目標としていた20年3月期2Q実績に対しては、1Q時点では上振れると見られたものの、2Qに入り、新型コロナ第5波の影響や半導体不足に伴う自動車の減産による景気減退から伸び率が鈍化した。
利益面ではコストコントロールが寄与。とくに西濃運輸では輸送距離400㎞以下で積載率70%以下の運行を対象にコースや積み合わせの見直しを行い、近距離便の回転を上げたことで、日当たりで19便を減便。総減便数は1万2834便となり、輸送の内製化につながったことから運行コスト削減効果も6億4100万円に達した。最新タリフの適用率も上期は67・2%へ上昇し、下期は70%を目標に据える。
(2021年11月25日号)