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【ズームアップ】特定信書便、200億円産業に

2021.10.07

総務省はこのほど、特定信書便事業の現況を公表した。それによると、2020年度末時点での特定信書便事業者は567者で、同年度の総引受通数は約2105万通、売上高総額は約198億円となった。
特定信書便事業は、03年4月に施行された信書便法により、それまで国が独占してきた信書の送達に民間の参入が可能になったことからスタート。以来、18年が経過し、参入事業者は着実に増加している。ただ、引受通数、売上高とも近年は成長が鈍化しており、やや頭打ちの傾向がうかがえる。

20年度の引受通数は1%増に

20年度末時点での参入事業者数は567者で、19年度末から19者増加。スタート当初に比べ参入事業者の伸びはやや鈍化しており、ここ数年でも毎年10~20者程度の増加にとどまる。役務別では、1号役務(3辺合計が73㎝以上または重量4㎏以上の大型信書便サービス)が500者(19年度末比18者増)ともっとも多く、次いで3号役務(料金800円超の高付加価値サービス)が298者(7者増)、2号役務(3時間以内配達の急送サービス)が107者(1者減)となっている。

20年度の総引受通数は約2105万通で、前年度比1・0%増(約20万通増)にとどまった。役務別では1号役務が約1501万通(前年度比2・7%増)で最も多く、次いで3号役務が約533万通(0・4%減)、2号役務が約71万通(18・4%減)だった。2号役務が減少しているのは、新型コロナによる影響だと推定される。

また、20年度の売上高総額は約198億円で、前年度から約5億円(2・6%増)の増加となった。役務別の割合では、1号役務が約114億6000万円(9・6%増)、3号役務が約81億1000万円(5・6%減)、2号役務が約2億6000万円(3・7%減)となり、コロナ影響もあり1号役務以外は売上高が減少した。

7割強が貨物運送業からの参入

参入事業者の業種別の割合では、貨物運送業が567者のうち418者と大多数を占め、次いで警備業が36者、障がい者福祉事業が18者の順。経営形態では、会社形態(株式会社および合資会社)が85・7%を占め、それ以外では協同組合が7・1%、社会福祉法人が2・6%、NPO法人が1・2%となっている。また、個人での参入も13者(2・3%)あった。

地域別の参入状況では、東京131者、大阪57者、愛知37者、神奈川31者、福岡29者、北海道19者、兵庫18者の順で、47都道府県のうち高知県だけが参入事業者がゼロとなっている。
(2021年10月7日号)


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