丸全昭和運輸が江別、常陸那珂を拠点に農産物物流を拡大
丸全昭和運輸(本社・横浜市中区、浅井俊之社長)は農産物物流を拡大する。北海道・江別では馬鈴薯の保管用にエチレン貯蔵庫を拡充。茨城・常陸那珂では4月に取得した定温倉庫で輸入米、国産米、大豆等に加え、秋以降、地元のサツマイモの保管を計画している。常陸那珂では定温倉庫の隣地の取得も計画しており、常陸那珂港を活用した農産物の輸出入にも対応していく考えだ。
エチレン貯蔵庫で馬鈴薯を長期保管
グループの丸全北海道運輸では2018年に「江別倉庫(写真)」(約3175㎡)の2室のうち1室(約1100㎡)を馬鈴薯の保管用に改修。冷凍冷却・断熱設備(5~10℃対応)のほか、馬鈴薯の発芽や野菜の鮮度低下を抑制するエチレンガス供給設備を導入し、8~10月にかけて収穫した馬鈴薯を長期保存できるようにした。
現在、道内の加工用馬鈴薯を専用のスチールコンテナに収容して保管。収容力は約1900tで、10月から翌5月まで約8ヵ月間保管し、4月下旬から5月にかけて道内の加工食品工場に移送する。加工食品工場構内の原料倉庫の外に新たな調達拠点を設けることにより、安定的な調達が通年で可能になる。
今秋には、江別倉庫のもう1室(約970㎡)についてもエチレン貯蔵庫に改修する計画だ。収容力は約1800tで、北海道産の馬鈴薯を本州の加工食品工場に供給する拠点となる。馬鈴薯が入らない時期に貯蔵庫を葉物野菜の保管に活用することや、将来的に残りの1室も農産物用に改修することも検討している。
関東圏と輸出入に照準、農産物の物流拠点に
農産物物流の拡大を模索する中で、3月には常陸那珂港区で青野産業から定温倉庫を取得し、「常陸那珂倉庫」(茨城県東海村)として営業を開始した。鉄骨造平屋建ての2棟(延床面積約1万150㎡)で10室(定温庫8室、常温の燻蒸庫1室、定温の燻蒸庫1室)の構成。現在は主に輸入米、国内米、茨城県産の大豆などを保管している。
常陸那珂港は北海道からのRORO船の定期航路があり、首都圏、北関東へのアクセスが良好。北海道で米の保管庫が不足していることから、常陸那珂倉庫を関東地区の物流拠点として活用することが決定。北海道から関東向けに海上輸送のルートを構築し、東京湾岸部に加え、北関東にも物流拠点を持ちたいというニーズとも合致した。
今後、同倉庫では新米(流通米)の保管を増やすとともに、茨城県産サツマイモの保管も10月頃から開始する計画。1万㎡の隣地の取得を計画している。常陸那珂港から至近の立地を活かし、農産物の輸出入拠点として発展させる構想で、選別・洗浄設備などの導入も視野に入れている。現在は米主体であるが、北海道と茨城県産の農産物をターゲットに業容拡大を図る。
(2021年8月24日号)