築港、名古屋で今秋3棟の危険物倉庫を竣工
築港(本社・神戸市中央区、瀬戸口仁三郎社長)は、名古屋地区で危険物倉庫を拡充する。名古屋化学品センター(愛知県弥富市)の近隣に新設する名古屋化学品センター第2倉庫では、今秋に第1期として危険物倉庫3棟が竣工。神戸地区ではカルモ倉庫(神戸市長田区)に隣接する遊休地で、2月からISOタンクコンテナデポの運営を開始した。今後、危険物タンクの貯蔵などの体制を整備し、さらなる機能強化を図る。
昨年9月以降急回復、倉庫は満庫状態
「コロナ禍で昨年は5~8月にかけて、世界的な生産の停滞により入出庫、在庫量が減少した。9月以降は急回復した。足もとでは、コロナ前より勢いがみられる」と瀬戸口社長は話す。当初、2020年度の業績は前年度比で減収増益を予想していたが、3月は単月として過去最高の売上高となり、増収増益で着地する見込みとなった。
新型コロナウイルス感染拡大に伴うアルコール消毒剤の保管の“特需”については昨年秋には落ち着いた。一方で、世界的なコンテナ不足の影響でブッキングの制約やスケジュールの遅延の影響もあり、危険物倉庫はタイトな状況が続く。「現時点ではどのエリアの倉庫も満庫の状態にある」という。
名古屋化学品センター第2倉庫、早期フル稼働へ
キャパシティーの増強を図るため、名古屋化学品センターの近隣に確保した約1万9400㎡の敷地で名古屋化学品センター第2倉庫を新設。第1期では、危険物倉庫(1000㎡)を3棟建設し、10月頃の竣工を予定する。消防法危険物第1類、2類、4類を扱い、1棟には移動ラックを導入する予定だ。
名古屋地区では化学品全般の輸出や、自動車関連および石油元売関連の輸入の引き合いが多い。旺盛な需要が見込まれるため、第1期竣工後、早期のフル稼働が見込まれる。このため、間を開けず第2期に着手する方針で、第2期で計画する2棟の施設については、定温も含めた危険物倉庫あるいは普通品倉庫を想定し、ニーズを見極め決定する。
神戸の新たな施設でタンクコンテナ80基保管
神戸地区ではカルモ倉庫の隣接地で取得していた遊休地を活用し、ISOタンクコンテナの保管・詰め替え施設を2月から開設した。リーチスタッカーも配備し、現在は普通品のみだが、危険物の保管を行うため屋外危険物貯蔵所の許可を取得する。普通品、危険物タンク合わせて80基を保管できる体制とする。
同施設はドライコンテナのインランドデポとしても活用する。シャーシからコンテナを降ろせるため運送会社のシャーシの稼働率向上にも貢献するとともに、同施設を拠点に輸入で使ったコンテナを輸出に転用するコンテナラウンドユースの実施も検討。横浜地区でも宇徳ロジスティクスと同様のスキームを研究中で、実運用を目指している。
デジタル技術活用に注力、米国での展開視野
業務の省力化および生産性と付加価値の向上に向け、デジタル技術の活用にも注力する。輸入貨物および国内貨物の出荷を対象に、出荷オーダーの受付から送り状の発行までの一連の業務にOCRを活用し、人がかかわる工数を削減した。次のステップでは通関業務や輸出貨物にも水平展開して行く方針だ。
独自のトラック・受付システム「CTAS(シータス)」も主要拠点で導入済みで、トラックの待機時間削減など効果を上げている。紙の受付台帳を廃止し、タブレットによる受付に変更することで入構トラックをデータ化。社内関係者で受付内容を共有し、作業の効率化を図っている。作業の体制を整え、将来的には入庫の7割を予約方式としたい考えにある。
海外事業では中国・上海の現地法人によるフォワーディング事業が順調に推移し、ベトナム法人での輸入サポート体制も強化。今後は米中摩擦の長期化を踏まえ、「顧客のサプライチェーンを支援するには、中国だけでなく米国にも拠点を置く必要がある」(瀬戸口社長)とし、コロナ収束後をメドに米国での事務所開設を検討する。
(2021年5月27日号)