中ロット混載便に有力プレイヤー本腰
有力物流会社が中ロット貨物をターゲットとした混載便を強化している。「チャーター便で出荷するほどの物量ではなく、路線便で出荷するには物量が多い」といった、「チャーター便」と「路線便」の中間に位置するサービスで、長尺物や異形物、危険物を含む化学品といった路線会社が敬遠しがちな荷物の受け皿としても期待が高まっている。コロナ下で需要の減少によりトラック1台に物量がまとまらないケースが増えていることも追い風となっているようだ。
東名大幹線便・二次配送ネット構築= 丸全昭和
丸全昭和運輸(本社・横浜市中区、浅井俊之社長)では、東名大の幹線輸送と二次配送をつなぐ中ロット(200㎏~2000㎏)貨物の混載便を強化している。路線便の引き受け制限がみられる化学品分野をターゲットに、中ロット貨物を対象とした東名大幹線便・二次配送ネットワークを構築。危険物への対応も進める。
ターミナル(TC)拠点を活用した一貫した自営体制のもと、一部の拠点を除き集荷配達(20~30㎞圏内)を実現。原則パレタイズされた貨物を扱い、ドラム、IBC(中容量容器)、フレコンバッグ、紙袋など多様な化学品の荷姿に対応。路線便よりも積み替え回数を少なくできるため、物流品質が向上する。
コスト競争力に強み、バラ積み対応も=ナカノ商会
ナカノ商会(本社・東京都江戸川区、沼澤宏社長)では、特別積み合わせ貨物運送事業の許可を取得し、昨夏から中ロット混載輸送サービスを開始した。対象エリアは関東、近畿、九州で、2021年度から東北6県もカバー。需要が集中する4つのエリアを網羅し、安定した輸送ネットワークを活用して集荷から配送まで対応する。
「1パレット6600円~」と圧倒的なコスト競争力も強み。長尺物、ドラム缶、不定形な貨物など路線便で運べない荷物・荷姿も引き受け可能。集荷時間は最長18時まで対応可能で関東~関西、関西~九州は翌着、関東~九州は翌々着の15時までの配送を実現。バラ積みバラ降ろし、リフト作業にも対応する。
建築現場への納品をターゲットに=大和物流
大和物流(本社・大阪市西区、木下健治社長)は建材や設備機器など路線会社が引き受けにくい中ロット貨物を対象に混載便を展開。全国の物流センターから工事現場や工務店などに共同配送するサービスで、2月10日に「中ロット貨物 全国エリア共同配送サービス」の特設サイトを開設した。
「長尺物、重量物や異形物」「トラック1台に満たない荷物」「建築現場への納品」をターゲットに設定。共同配送のメニューとしては、荷台に他社製品を積み合わせて運行する「積み合わせ便」のほか、1運行目と2運行目と繰り返し運行する「ラウンド便」の2つのメニューを用意している。
中ロット混載便については求貨求車業界シェア1位のトランコム(本社・名古屋市東区、恒川穣社長)も近年、中ロット貨物の混載マッチングに力を入れている。コロナ下でロットがダウンサイズされ、潜在需要が掘り起こされるとともに、長尺物をはじめとしたニッチな領域でサービスの多様化が図られそうだ。
(2021年3月9日号)