ボックスチャーター、加盟会社の特積み貨物を共同輸送
JITBOXチャーター便を運営するボックスチャーター(BC、本社・東京都千代田区、岩﨑納樹社長)は今期をメドに、全国物流ネットワーク協会(全流協)の会員4社(西濃運輸、日本通運、日本郵便、ヤマト運輸)が共同で運行するSF25(スーパーフルトレーラー25、25mダブル連結トラック)で、BC事業に加盟する特積み会社の貨物を共同輸送する。併せて、加盟会社の幹線輸送における求貨求車サービスも3年内に実現する計画。BC社がプラットフォーマーとなり、加盟会社の連携を強めることで特積み業界の“ムダ・ムラ”の解消を目指す。
SF25による共同運行便は、昨年3月より西濃運輸、日本通運、日本郵便、ヤマト運輸が連携して、ヤマトグループの厚木ゲートウェイ(厚木GW、神奈川県愛川町)~関西GW(大阪府茨木市)間で稼働している。同プロジェクトでは、全流協に加盟する他の特積み会社の参加も募ってきたが、「貨物がトラックを満載にするほどない」「運行ダイヤにマッチしない」などの理由で、利用への意欲はあるものの参加会社の十分な拡大には至らなかった。
そこで、BC社がSF25共同運行便の一部を貸切るかたちで、トラック1台に満たない加盟特積み会社の荷物を集約して運ぶ「共同輸送」を企画。各GW施設と特積み会社ターミナル間の移送もBC社がアレンジする。スケジュールを組みやすいよう、荷物はパレットもしくはロールボックスパレット積みを基本とし、作業時間を短縮、平準化する。まずは今期、特積み貨物の主要路線である東京~大阪間でスタートする予定としている。
SF25の共同輸送と並行して、特積み会社による幹線輸送の自動マッチングシステムも実現に向けた調整を進める。BC事業加盟会社の運行車の空きスペースと、運行車1台に満たない貨物をWeb上でマッチングすることで各社の積載率向上につなげるもの。既存の求貨求車サービスとの差別化を図りながら加盟各社との協議を進め、3年内の稼働を目指す。
これらの施策は、BC社が中期事業計画(20~22年度)の重点項目に掲げる「新事業の立ち上げ」の一環。特積み業界では、事業者間の連携や“オープンプラットフォーム化”による業務効率化および事業価値向上への取り組みが加速している。特積み会社にとって長年の課題である「幹線便の実車率改善」に向けて、今回、特積み会社15社の共同出資会社であるBC社が各社の間に立つことで、その実現に貢献する。
アフターコロナ見据え、BC事業でEC市場に注目
BC社の中期事業計画では「新規事業の立ち上げ」と併せて「BC事業の高度化」にも取り組む。とくに、「ウイズコロナ」「アフターコロナ」の市場環境を見据えて、ECに注目。EC貨物の拠点間輸送などにおけるJITBOX便の利用などを想定しながら、顧客ニーズをより掘り下げることで商品設計や販売戦略につなげる。同時に、Webを活用した顧客獲得にも努める。
EC市場への注目に伴い、域内の物流ネットワークの高度化にも着手。具体的には、加盟会社間の「横持ネットワーク」をキーに、より効率性の高い集配網を構築する。現在のJITBOX便の集配エリア区分では加盟会社間で重複している箇所もあり、重複を解消することで各社の配達密度を高め、集配効率を上昇させる。
これらの施策に欠かせない「情報システムの高度化」も推進し、今年10月にはBC事業に使用する端末機器「FACE」へ配達先に到着したステータスを追加する予定。納品時の待機時間を見える化して加盟会社の業務改善や、荷主企業のホワイト物流推進効果の可視化にも寄与する。さらに、将来的には「配達先顧客マスター」としてデータ整備し、配達先情報の分析による提案営業にも役立てたい考えだ。
今期目標105万本、前期比1・8%の微増計画
一連の施策により、中期事業計画初年度となる今期はJITBOXチャーター便の販売総本数105万本(1・8%増)、配達不良率2・0%(0・1ポイント減)、転倒落下事故件数40件(16件減)を目標に据える。一昨年末から続く荷動きの鈍化傾向を加味し、微増計画とした。
今期は、前期にテスト運用を実施したクール便の翌々日配達も、北海道および九州発着便で本格稼働させる計画にあり、物産展などのイベント輸送や京浜港、阪神港などで荷揚げされた輸入貨物の地方発送、医薬品などの輸送ニーズを見込む。また、今月29日からは新たな輸送資材「楽ラクJITバンド」と「楽ラクJITマット」を販売し、資材軽量化による荷物事故削減と、耐震性の強化による精密機器市場の取扱拡大を図る。
なお、前期の実績はJITBOX便販売本数が103万1000本(5・2%増)となり、100万本の大台を突破。下期には消費増税や暖冬の影響、新型コロナウイルス感染症によるインバウンドの減少が響いたが、上期にあった大型連休前の特需などが吸収した。配達不良率2・1%(0・5ポイント減)、転落事故件数56件(29件減)となり、「安全・営業・品質ともに数字的に成果が出た1年だった」(岩﨑社長)とした。
(2020年6月9日号)