【トラック輸送】「働き方改革を進めさせる」=ヤマト労組が中央研修会
ヤマト運輸労働組合(森下明利委員長)は17、18日の両日、新潟県湯沢町で「第27回中央研修会」を開催し、組合役員ら1030人が出席した。森下委員長は開会の挨拶で、春季労使交渉において労組から宅急便取扱量の抑制を求めたことに触れ、「労働環境、サービス品質、教育、一人ひとりのモチベーション、コミュニケーションの低下など数量と引き換えに多くの犠牲を払いすぎた」と会社側を批判。その上で、ヤマト運輸が進める働き方改革について「労組としても、ここにいる全役員の意識改革を行い、大きな拮抗力をもって働き方改革を確実に進めさせる、重要な役割を担っている」と強調した。
続けて森下委員長は、「(会社側は)このような状況を招いたことへの猛省をもとに、経営理念や社員力、お客様との寄り添い方、社会との向き合い方を見直し、不退転の決意を持って働き方改革を進めて、社風を刷新する経営が求められる」と指摘し、「現場からの要望がしっかり具体化されるよう、労組でも本部と全国各支部が連携した活発な活動が必要となる」と協力を求めた。
また、政府の「働き方改革実行計画」で自動車運転業務は残業時間の上限規制が年960時間、月80時間に定められた上、施行まで5年間の猶予が設けられたことに対し、「トラック運輸産業は長労働時間が常態化しており、脳や心臓疾患などの労災も長年ワーストワン。過労死認定基準である月80時間超の労働時間を国が容認したといっても過言ではなく、労働時間が長くて当たり前で、産業の活性化のために裏方として犠牲になれと言われているのと同じ。我々が発展していくためにも他産業と同等の規制を要請していきたい」との考えを示した。
さらに、「今後は誰もが安心して働きながら介護や育児をする社会の実現が望まれ、会社はワークライフバランスを最も重要な経営戦略と位置付けて、強力なリーダーシップで大きくかじ取りすべきだが、現状を見ると本当に改革できるのかと半信半疑になる」と指摘。「一昔前は繁忙期も休みなく働き、玄関先放置や“隣預け”も当たり前だったが、こうした慣行を思い切って変える勇気も持ちながら、改革を進めて、本当の意味での豊かさの実現のために皆で力を合わせたい」と呼びかけた。
研修会ではワーク・ライフバランス社の小室淑恵社長が「あなたが輝く働き方」をテーマに講演したほか、ヤマト福祉財団「第17回小倉昌男賞」を受賞した社会福祉法人岡山ライトハウスの竹内昌彦理事長が「私の歩んだ道」と題したスピーチを行った。また、ヤマト運輸の長尾裕社長も「現場起点(GENBA FIRST)」として中期3ヵ年経営計画の方向性を語った。
(2017年5月25日号)