全流協が予約システムのガイドライン作成
全国物流ネットワーク協会(全流協、森日出男会長)は15日に開かれた新春セミナーで、2017年から研究を続けてきた「トラック予約受付システムの導入におけるガイドライン」の完成を報告した。同ガイドラインを利用することでトラック予約受付システムの導入をスムーズにし、業界全体における納品待機時間の短縮につなげることが目的。ガイドラインは全流協のホームページでも公開し、広く利用を呼び掛ける。
ガイドラインでは、トラック予約受付システムの導入にあたり、荷主企業や倉庫事業者、運送事業者の共通理解を促す構成とし、まずはシステムの概要を説明。続いて、現状を分析するためのチェックリストを設け、例えば、「待機状況の可視化」や「接岸時間の短縮」「接岸指図の効率化」などの大項目に、より具体的なチェック項目として「待機状況を把握していない」「一斉に到着して困ったことがある」などを用意した。そのチェック内容に応じて「受付システム」や「予約システム」、「呼び出し誘導システム」など最適なシステムが分かるようにした。
その上で、ガイドラインではシステムの導入に向けた具体的なステップも解説。第1ステップで目的・目標の明確化を促すとともに、第2ステップでは物流センターや車両の現状を把握。第3ステップで課題を特定し、導入するソリューションを決定した上で、第4ステップでは事前準備として必要な説明や担当割を求め、第5ステップでは導入支援として必要となるツールやマニュアルデバイスの作成や現場支援などが分かりやすくまとめられている。第6ステップでは導入後の効果測定や改善活動もフォローする。
加えて、同ガイドラインの要求仕様を満たすトラック予約受付システムとしてHacobuの「MOVO」、シーオスの「Truck Berth」、エル・スリー・ソリューションの「トラアポ」の3サービスが紹介された。
待機時間発生荷主へのアンケートも実施
全流協では物流業界の生産性向上を目指し、17年7月に「トラック予約受付システムの業界最適を考える研究会」を会員会社10社11人で発足。年数回の会合で先行事例の研究やシステム導入荷主へのヒアリングなどを行ってきた。
18年に掛けては納品待機時間に関する調査も実施。委員9社の東京・神奈川・埼玉・千葉における着荷主のうち、1時間以上の待機が発生している荷主企業833社から2社以上の重複荷主70社を抽出し、アンケートを依頼したところ14社から回答を得たが、「予約受付システム導入に関心がある」とした会社は3社に留まった。
また、「納品時の困りごと」を「ある」と答えた荷主は7社で、そのすべてが「接車時間が集中し、待機時間が発生」と回答。このほか、「時期、日時により集中する」「バラ積み荷物の対応で待機が発生する」と答えた会社も各4社あった。一方で、待機時間解消への取り組みは「行っている」とした会社が6社で、「行いたいが行えていない」が3社、「行っていない」が4社あり、「待機時間が課題であっても実効性のある取り組みができていない実態が見えた」(同委員会)と分析した。
(2020年1月21日号)