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国交省が加食物流改善ガイドを年度内に策定

2019.07.09

国土交通省は加工食品業界の荷主と物流事業者に対し、今年度中に加工食品物流の改善方策を示すガイドラインを策定する。同ガイドラインは「ホワイト物流」推進運動のポータルサイト内に掲載し、同運動に賛同する荷主がポータルサイト内で発表する自主行動宣言にガイドラインの情報や方策を反映してもらうよう要請していく。また、加食物流の課題解決の参考となる優良事例などの資料集や、メーカー、卸、小売の経営層向けにガイドラインの概略を表示したパンフレットも作成する。3日に開催した「加工食品物流における生産性向上及びトラックドライバーの労働時間改善に関する懇談会」(座長=矢野裕児・流通経済大学教授)の第4回会合で決めた。

加食物流の改善へ、標準化の取り組みを促進

そのほか、加食物流の生産性向上を図るため、2020年度以降に関係団体などに対し、標準化に取り組むよう働きかける。当面の目標として開発会社ごとに異なっているトラック予約受付システムの機能やデータ関連で共通化が可能な部分の標準化を促す。加えて、日本ロジスティクスシステム協会が昨年4月から開催する「持続可能な加工食品物流検討会」とも連携し、同検討会による取り組み成果を活用していく。

今回は令和元年最初の開催だったことから議論の振り返りも実施し、①受発注条件の見直し、②荷待ち時間の削減、③荷役時間の削減、④検品時間の削減――などがこれまで課題となっていることを確認。受発注条件の見直しでは、リードタイムの延長やそれに伴う事前出荷情報(ASN)の提供や、物流波動の平準化に取り組むべきとした。リードタイムの延長では、時期は未定だが実証実験を行う。
荷待ち時間の削減に向けては、倉庫など物流施設のタイプに応じた荷待ち時間の削減方法や検討手順のフローチャート化を図ることで取り組みを促進する。加えて、トラック予約受付システムの標準化に向け、システム事業者ごとの機能や入力データ項目の違いを確認するとともに、倉庫やトラック事業者、システム事業者の標準化に対する意向を整理する。

パレット化の進展が生産性向上のカギに

荷役時間の削減では、パレット利用の促進に取り組み、パレットサイズの統一や積載する外装段ボールサイズの見直しを検討していく。また、パレット活用を啓発するため、これまで国交省が作成したパレット活用の手引きなど各種資料を総合した活用案内を作成する。懇談会の委員からは「手荷役の課題を解決しなければ生産性向上は実現しない。パレットのサイズの標準化を進め、活用範囲を拡大していくべき」との意見があった。

検品時間の削減については、効果的な取り組みとして3分の1ルールの見直しの徹底を図るとともに、年月日表記から年月表記への変更をはじめ、ANSデータの提供、QRコードへの情報の組み込み、統一伝票や段ボールへの表記の標準化を検討する。削減手法を可視化するフローチャートの作成も行う。
(2019年7月9日号)


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