トナミHD/18年度は運賃改定効果発揮し、最高益を更新
トナミホールディングス(本社・富山県高岡市、綿貫勝介社長)が10日に発表した2019年3月期の決算は、運賃改定交渉や生産性向上などが奏功し、過去最高益を更新した。これを受けて、今期の業績予想では中期3ヵ年経営計画最終年度に掲げる利益目標を、1年前倒しで達成する見通し。同日に本社で会見した綿貫社長(写真)は「値上げ交渉が実を結んだことは確かで、かなりの効果があった」と振り返った上で「中計1年目としては非常にいい成績を残せた。社員が一丸となった成果の賜物であり、従業員に感謝している」と語った。
19年3月期通期の連結業績は、売上高1374億3600万円(前期比5・0%増)、営業利益72億7500万円(29・2%増)、経常利益77億8100万円(27・4%増)、純利益45億3900万円(43・7%増)の大幅増益。利益面では、中期計画の重点戦略に掲げる「働き方改革」に伴う人件費増や燃料単価の上昇、傭車費などの下払いコストの増加を、運賃改定交渉およびコストコントロールによる収益管理の徹底、既存事業の生産性向上などで吸収した。
とくに、主力の物流関連事業が売上高1262億1100万円(4・5%増)、営業利益66億円(32・6%増)と好調で全体をけん引。新規顧客の成約に努めるとともに、既存顧客に対しては輸送コストに応じた運賃改定交渉を継続して行った。さらに、運送と附帯作業の明確化を図り、作業負担軽減による集配業務の効率化にも取り組んだ。
このうちトナミ運輸の輸送事業では、取扱量は前年並みだったが、19年3月期通期の運賃単価水準は特積み貨物で前期比5・6%、貸切貨物で4・3%上昇。運賃改定交渉は17年度下期から本格化したが、昨年9月までの1年間では約6%程の運賃アップに成功し、9月以降も5%近い水準で推移しているという。綿貫社長は「一巡すると伸び率が鈍るところはあるが、新たに取引するお客様には料金を適正な水準に設定して交渉している。今後もなるべく高い目標を持って取り組んでいきたい」と述べた。
6月から段階的に土曜日集荷を中止
20年3月期通期の連結業績は、売上高1423億円(3・5%増)、営業利益78億円(7・2%増)、経常利益81億円(4・1%増)、純利益51億円(12・4%増)を予想。中期計画の2年目として、働き方改革の進展による諸費用や燃料費、下払いコストの増加が見込まれる中、引き続き、運賃・料金の適正収受の継続的展開を図るとともに、M&Aの積極的な展開を視野に入れる。なお、21年3月期を最終年度とする中期計画では目標数値を売上高1500億円、営業利益75億円、経常利益78億円、純利益55億円に据える。
今期は、働き方改革の一環として6月から第2・4土曜日の集荷を行わず、10月以降は全ての土曜日の集荷を中止する。配達は前日金曜日までの出荷で送り状に「土曜日お届け」と明記があり、荷物に「土曜日配達シール」が貼付してある分のみとする。綿貫社長は「労働集約型産業である我々の業種も、従業員の休暇を確保しなくては、(従業員の)身体的にも厳しい。ここ1年間ぐらいで週休2日制への道筋をつけたい」との考えを示した。
(2019年5月16日号)