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「ホワイト経営認証」スタートへ=国交省

2018.06.14

国土交通省は自動車運送業のドライバー不足に対応し、労働条件や労働環境の改善を図るため、長時間労働の是正に積極的に取り組む優良運送会社を「ホワイト経営」事業者として認証する制度を創設する。8月末までに制度の仕組みについて報告書を取りまとめた後、9月以降制度を立ち上げ、来年度から運用をスタートする。11日に開催した「自動車運送事業のホワイト経営の『見える化』検討会」(座長=野尻俊明・流通経済大学学長)で決めた。

最優良事業者は「三つ星」を取得

「ホワイト経営認証制度」(仮称)では、事業者の優良の度合により「一つ星」から「二つ星」「三つ星」の段階を設け、取得に当たっては業界水準よりも高い優良事業者の水準を要求することとした。認証の有効期間は当面2年間とするが、制度の定着状況を踏まえ、2回目以降の認証については期間を延長することも検討する。申請する事業者の多くが中小企業だと想定されるため、申請書類は可能な限り簡易な作成しやすい形式とし、負担軽減を図ることとした。

認証実施は中立的な団体が行い、国が定めたマニュアルに準拠し、認証料金を定め、運営費用は申請者からの審査料金から確保する。審査料金の低廉化を図るため、基本は書面審査およびメールや電話での確認で審査するが、虚偽申請が疑われる場合は、現地調査も行うなど必要な措置を講じる。

認証の取得企業は国交省や認証団体のホームページに掲載されるほか、車両への認証マーク表示、求人票への記載、国や事業者団体により広報される。また、荷主による優良事業者の選別に役立てる方針で、荷主や元請事業者に向け、ホワイト経営事業者の起用を推奨するように認証団体が呼び掛けていく。

50以上の審査項目、不適切事業者を排除

認証基準は50~60の審査項目を設ける考えだ。認証取得に不適切な事業者を排除する観点からの審査をはじめ、労働環境の整備体制や改善計画、労働時間遵守や年次有給休暇取得の状況、健康で安心して働ける制度、働きやすい環境づくりへの自主性・先進性などをチェックする。また、過去3年以内に、労働基準法関連での違反や長時間労働への是正勧告を受けたりドライバーの死亡や重傷など重大な労働災害を発生させたり、貨物自動車運送事業法の輸送の安全確保を阻害する行為により行政処分を受けているなどの事業者は排除される。そのほか、道路運送法などに基づく行政処分の点数の付加の有無や累積点数が20点以下であることが審査され、「ホワイト経営」に取り組む企業としてふさわしくない問題を生じさせた場合も対象外とされる。

自主性・先進性の審査項目としては具体的には「Gマーク」「グリーン経営認証」や、子育て支援企業への認証制度「くるみん」の取得などが評価対象となる。

今月下旬、労組と事業者にアンケート調査を実施

検討会では、今月下旬から7月上旬までの間に、運送会社の労働組合と運送事業者を対象に、労働環境の具体的把握や審査項目の内容、審査料金の負担限度額などのアンケート調査を実施することにしている。その回答を踏まえ、制度設計作業を進める。
(2018年6月14日号)


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