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【宅配便取扱個数】宅配3社の上期実績、「ゆうパック」シェア拡大

2017.11.09

宅配大手3社(ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便)の2017年度上期(4~9月)の宅配便取扱個数がまとまった。eコマースの増加を受け3社とも個数を伸ばしたが、特に日本郵便の「ゆうパック」が2ケタの増加となり、伸長率では2社を圧倒した。ヤマトの「宅急便」は総量コントロールにより今期の取扱個数を減らす方針だが、上期の時点では前年を上回った。

宅配便市場に占める3社合計のシェアは93・4%(16年度実績)で、3社で市場をほぼ独占している。
ヤマトは今春に顕在化したラストワンマイルの混乱を受け、今期と来期については取扱個数を抑制することで現場負担を軽減する方針。9月末を期限に約1100社の大口法人顧客との運賃交渉を進めてきたが、9割方の顧客と交渉が完了した。その結果、半数以上の顧客が値上げを受け入れた一方、数百社とは契約更改時点で取引が終了する。このため、下期から総量コントロールの効果が徐々に出始め、通期では前年比4100万個減の18億2600万個程度になる見通し。

佐川急便の「飛脚宅配便」は1・7%増の6億907万個と堅調。佐川は数年前から個数よりも単価を重視する方向に明確に切り替えており、現在もその方針を堅持している。このため、上期の平均単価は前年同期比17円増の528円と大きく改善した。

取扱個数がもっとも伸びたのは日本郵便の「ゆうパック」。昨年10月から「ゆうパケット」を個数にカウントしたこともあり、26・2%増という大幅な伸びとなった。ゆうパケットを除いた従来のゆうパックだけでも11・4%増となっており、シェア拡大を続けている。

各社とも急ピッチで単価改善が進む

取扱個数に加え、注目されるのが各社の単価。ヤマトは10月に実施した基本運賃の値上げに加えて、大口顧客との値上げ交渉により、今年度の宅急便単価は16年度より31円高い590円まで改善する見通し。

佐川も上期終了時点で528円まで上昇しているが、11月に実施する基本運賃改定と適正運賃収受の継続により「さらに上昇を見込んでいる」(関係者)という。
また、日本郵便は単価を公表していないが、来年3月に平均12%の基本運賃値上げを実施するほか、大口顧客との特約運賃交渉にも力を入れていることから、上昇する見通しだ。

ヤマトが減らす分の荷物は誰が運ぶのか…

ヤマトの総量コントロールの実施によって、通販荷物などがどこに流れるかも注目される。ヤマトは上期で前年同期と比べ個数が約3200万個増えており、通期で4100万個を減らす場合、下期だけで7300万個の荷物を減らす必要がある。つまり、佐川と日本郵便のどちらかまたは両社がヤマトからの流入分を受けない限り、配達現場は混乱する可能性がある。特に、年末繁忙期にはEC各社の歳末セールが重なるため、取扱個数は大きく増えることが予想される。

一般的には、ヤマトや佐川に比べ配達キャパシティに多少の余力があるとみられる日本郵便に流れるとの見方が多い。ただ、日本郵便も単価修復に力を入れており、「何でも受けるという考えはない」(関係者)という。また、日本郵便は2015年の年末繁忙期に、マイナンバー通知カードの配達が重なり配達現場に大きな負荷が及んだ“苦い経験”もある。このため、流入分の受け入れには慎重な構えも見せており、相当数の行き場を失った荷物が発生する可能性も考えられそうだ。
(2017年11月9日号)


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