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中継輸送、コストやリードタイムに課題

2017.07.27

トラックドライバーの長時間労働の改善に向け、長距離のトラック輸送を複数のドライバーで分担する「中継輸送」が注目されている。中継地点でトラックを乗り換える「ドライバー乗り換え方式」、トレーラを差し替える「差替え方式」、貨物を積み替える「貨物交換方式」、拠点間をつなぐ「リレー方式」といったいくつかのパターンがあるが、いずれも1人のドライバーが運行する場合と比べコストが割高になることやリードタイムの制約がネックとされ、普及拡大には荷主の理解と協力が不可欠だ。

拘束時間対策として期待も

中継輸送については、2014年10月に鴻池運輸が関東~関西の長距離輸送の中継拠点として静岡県島田市に「スイッチセンター」を開設したことや、16年6月から花王とイオンが異業種間で日本初となる中継輸送を開始したことで認知度が拡大。大手荷主や物流会社も幹線輸送のドライバー不足対策として中継輸送に期待を強めている。

国土交通省では、中継輸送を中小トラック事業者にも普及させるため、16年度に「貨物自動車運送事業における中継輸送実証実験モデル事業有識者検討会」を計4回開催し、中小運送会社間の実証実験モデル事業を実施。課題を整理し、4月には中継輸送を実施するための手順書(実施の手引き)を公表した。
ただ、中継輸送はスキームができたとしても、“物量”と“コスト”の条件をクリアできるケースは少ない。「輸送を分担する3社の料金を合わせることで見積もりが高くなり、荷主のニーズに応えられなかった」(海上コンテナ輸送)、「現段階ではコスト高で対外的に売り込むにはまだ課題が山積み」(一般貨物輸送)との声が聞こえてくる。

バラ積みだと日帰り運行は困難

幹線輸送のドライバー不足はエリア配送以上に深刻で、低温輸送や危険物輸送といった特殊分野でも中継輸送の導入が模索されている。しかし、低温輸送に関しては、冷凍食品はバラ積みが多く、積み込み、積み下ろしにそれぞれ2~3時間要しているため、パレット化されなければ中継輸送を行っても日帰り運行できない可能性が高い。

また、ISOタンクコンテナによる危険物輸送では、工場設備への充てん作業もドライバーが行うためノウハウが必要なこと、構内の入門登録が厳しいためドライバーが固定されることなどからリレーが難しい。また、中継拠点に「危険物一般取扱所」の許可が必要になるとも考えられる。
なお、メーカーなど荷主企業間の物流共同化が進む中で、「互いに荷物を持っている」荷主主導で中継輸送のマッチングを模索する動きも出てきた。マッチングさせるには国際海上コンテナ輸送における「インランドデポ」のような中継拠点が必要で、「公共的な中継基地の整備を期待したい」(機械メーカー物流子会社)との要望もある。

(2017年7月27日号)


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