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物効法、商流など支援対象拡大へ=国交省

2020.10.29

国土交通省は物流総合効率化法(物効法)の基本方針を改正する。物流の平準化やリードタイム延長など商流領域の取り組みのほか、新型コロナウイルス感染対策としての庫内作業の自動化・デジタル化も支援対象とすることを明確化する。物効法では基本方針で認定の3類型が示されているが、それ以外でも要件を満たせばこれまでも認定を受けられた。しかし周知が不十分だったため、新たに8類型を追加する。来月27日に公表する予定だ。

3類型を商流分野含む11類型に

現行の基本方針は2016年9月に公表され、今回の改正は4年ぶりとなる。
具体的には、これまでの認定の3類型である「輸送網の集約」「モーダルシフト」「輸配送の共同化」以外に、①物流の平準化②納品までのリードタイムの延長③納品時の作業の合理化④パレット等の活用による荷役効率化⑤幹線輸送の帰り荷の確保⑥中継輸送⑦庫内作業の効率化⑧バスなどによる貨客混載――の8類型を追加し、全部で11類型とする。

改正にあたっては、今年6月の「共同物流等の促進に向けた研究会」による提言を盛り込んだ。サプライチェーン全体の合理化・効率化を念頭に、物量や配送回数の平準化、メーカー・卸・小売を含むサプライチェーン関係者の連携・協力によるリードタイム延長、検品レスなど商流にも踏み込んだ納品時作業の合理化を支援する。

また、深刻なドライバー不足の解消やドライバーの負担軽減につなげるため、パレットやロールボックスなどの活用による手荷役の解消、荷主間や荷主・事業者の連携による帰り荷を確保した幹線輸送、長距離輸送におけるスワップボディコンテナ車両の活用やトラクタヘッドのスイッチなどによる中継輸送も認定対象と位置付ける。

倉庫のデジタル化支援で感染症対策も

庫内作業における自動化・デジタル化機器による作業合理化や、自動追従型搬送ロボット(AGV)やロボットなど無人化機器の活用、トラック予約受付システムの活用も対象。また、今回の改正では地方交通ネットワークの維持・強化も盛り込む。来年度予算を活用し、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が資金貸付を行い、輸送ネットワーク強化につながる物流施設整備を支援する(既報)。

認定対象明確化で連携を促進

国交省によると、「従来も3類型に限らず、事業者の〝創意工夫〟による多様な取り組みを想定し、要件を満たしていれば総合効率化計画として認定してきた」。一方で、取り組みの多様化に関する周知が不十分との指摘もあることから、基本方針を改正。類型として示すことで認定対象を明確化し、荷主と物流事業者の連携を促進する狙いがある。改正物効法施行以後の効率化認定件数は9月末現在で229件。今後は荷主や事業者を対象としたセミナーなどの機会を活用した周知活動を継続し、認定件数のさらなる増加を目指す。

なお、今回の基本方針改正では物効法認定の手続き簡素化は行わない。
(2020年10月29日号)


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