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レポート 「物流ロボットシェアリング」は進むか

2019.06.27

物流不動産がスペースのシェアのみならず、トラック、物流ロボットをはじめとした技術のシェアにも触手を伸ばし始めた。テナントの最重要課題は労働力不足。車両や省人化につながる各種新技術を物流不動産側が提供し、スペース同様、テナント間で共同利用する――というシェアリングモデルを構築することで、物流不動産の差別化につながる。ただ、使用する車両やロボット、マテハンは取り扱う貨物や繁忙期など条件によって異なり、同一施設に相性の良いテナントを誘致しなければならないなど課題も多く、オペレーションの分野まで踏み込むことで、物流不動産と3PL企業の業際の壁が崩壊する可能性もある。

最新テクノロジーをテナントがシェア

CBRE調査によると、最大のマーケットである首都圏では2019年1~3月に新規供給が20万3000坪、新規需要も18万9000坪といずれも四半期ベースで過去最高。物流不動産各社は物流業界の目下最大の課題である労働力不足に対応するため、テナント誘致戦略として省力化・省人化のソリューションに注力している。
具体的には、豊富な資金力やネットワークを通じて、マテハン機器やロボットの斡旋やレンタルにとどまらず、トラックなどのシェアリングビジネスベンチャーと提携してテナントへの車両供給支援に乗り出すほか、AI・IoT・ロボットなど最新技術のシェアリングの提案も始まっている。

典型的な取り組みが、大和ハウス工業が昨年4月に千葉県市川市に誕生させた「Intelligent Logistics Center PROTO(インテリジェント・ロジスティクス・センター・プロト)」。AI・IoT・ロボットの先端テクノロジーを導入した物流施設の機能を複数荷主企業がシェアするというものだ。

eコマース関連の複数荷主企業がこの施設でスペースや作業員や設備、システムなどを共同利用するシェアリングモデル。大和ハウスグループが物流施設、作業員、設備、システムをトータルで提供し、荷主企業は物流サービスを利用した分だけ料金を支払う従量課金制を導入する。

ロボットレンタル、商社との業務提携も

物流不動産各社はこうしたシェアリングモデルも念頭に、ロボット対応を急ぐ。オリックスとオリックス・レンテックは、オリックスが開発する物流施設に入居するテナントを対象に物流ロボットを無償で6ヵ月レンタルするサービスを展開。ラインナップを9メーカー、10機種まで拡大させている。

プロロジスは、TSI・プロダクション・ネットワークと業務提携。ロボットを活用したマテリアルハンドリングに適した施設設備の検討、アパレル向けの次世代型物流プラットフォームの構築など、入居企業の庫内オペレーションをサポートするため、ロボットなど最先端技術を活用し、カスタマーサービスの向上を図る。

日本GLPは、産業機械専門商社のアルテックと自動化・省人化機器の販売・リース等の業務提携を締結。自律走行型搬送ロボット「OTTO」をはじめ、同社が幅広く取り扱う最先端の自動化・省人化機器について、日本GLPのテナント企業向けに特別価格にて販売またはリースサービスを提供する。

荷主とロボット倉庫のマッチングも登場

ロボット倉庫と荷主をマッチングさせる新ビジネスも登場した。フジテックスではロボットが導入された物流施設を荷主とマッチングさせる「ロボット倉庫マッチングサービス」を開始。自社でのロボット導入が難しい荷主に、ロボットを導入した物流会社を紹介するというもので、シェアリングが促進される可能性もある。

最新技術のシェアリングモデルを物流事業者が主導して提案するケースもみられる。佐川グローバルロジスティクスでは、東京都内で来年2月竣工の大規模物流施設で各種設備やシステム、スペースを複数のEC事業者で共同利用できる「シェアリング・フルフィルメントサービス」を展開していくとしている。

物流不動産はかつて3PL企業の戦略的ツールのひとつとされ、3PL企業は物流不動産の顧客。施設のサプライヤーとオペレーションする側の“棲み分け”がなされてきた。ロボットや最新技術をフル活用するシェアリングモデルでは、物流不動産がオペレーションの担い手として台頭してくることも考えられる。
(2019年6月27日号)


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