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全ト協の坂本会長が改正事業法の成立受け会見

2018.12.18

全日本トラック協会の坂本克己会長(写真)は12日に記者会見し、8日未明に国会で成立した貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律について「今後、国土交通省などで政省令等を詰めていくが、トラック事業者にとって使い勝手が良い法律にしていかなければならない。念仏ではなく、魂が入って〝これならご利益がある〟と思える、ドライバーなど労働者のためになるものにしなければならない」と語った。

坂本会長は冒頭、「今回の法改正を内閣法でやっていたら最低でも1年はかかった」と述べ、議員立法という手法が短期間での法案成立につながったと強調。「ただ、議員立法であっても、貨物自動車運送事業法の施行から30年が経過しており、本来ならば色々な議論があってしかるべき。それがあっという間に成立したのは、各県や地域で経済と国民生活を支えているトラック協会会員の経営者や現場のドライバーの日頃の真摯な姿勢があってこそ。それが各地域から選出された衆参国会議員の心を動かし、ある意味で政治のイデオロギーを超えた全会一致での成立につながった。全国の会員事業者と現場で汗をかいているドライバーに深く感謝したい」と述べた。

また、今回の法改正の目玉でもある、「標準的な運賃の告示制度の導入」と「国交大臣による荷主への働き掛け等の規定の新設」が2023年度末までの時限措置として導入されることについては、働き方改革に伴うトラックドライバーの時間外労働規制の猶予期間が23年度末までであることと連動している点を指摘。この5年間でドライバーの労働環境を一気に改善していく必要がある点を強調した。

このほか、荷主勧告制度の対象に貨物軽自動車運送事業者が追加されたことについて、全ト協の桝野龍二理事長は「軽トラックはこれまで、物流量が少ないことから規制については落差があったが、最近は貨物量も増えている」と述べ、近年のEC化など流通構造の変化により、軽貨物事業者も元請け・下請けのシワ寄せが出てきている点を指摘した。

「力強い後ろ盾を得た」と奥田局長

この日の会見には、国交省の奥田哲也自動車局長も同席。奥田局長は「成立までのスピードに坂本会長の並々ならぬ意欲がうかがえる。今回の法律の中身は、我々が貨物運送事業の働き方改革に向けて積み重ねてきた施策とまさに方向が一致している。力強い後ろ盾をいただいたと思っている。荷主への働きかけの充実・強化や標準運賃の告示などを今後、しっかりと運用していきたい」と述べた。
(2018年12月18日号)


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