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加工食品の荷待ち、実態を調査=国交省・奥田自動車局長会見

2018.12.04

国土交通省自動車局の奥田哲也局長(写真)は11月29日、専門紙と会見し、トラック輸送での荷待ち時間改善に向け、加工食品物流の荷待ち発生の実態を把握するためアンケートを実施中と報告した。調査結果を踏まえ、改善方策への議論を深める。また、加工食品以外で荷待ちの多かった建設資材や紙・パルプでも同様の検討会を年内に立ち上げることを明かした。

加工食品の荷待ち、アンケートで実態把握

国交省では昨年7月、輸送品目別の荷待ち時間調査を実施。その結果、1運行あたり30分以上の荷待ち時間発生件数は加工食品が最多だった。それを踏まえ、今年6月に「加工食品物流における生産性向上及びトラックドライバーの労働時間改善に関する懇談会」を立ち上げ、改善方策の検討をスタート。

奥田氏は「第1回会合での意見を踏まえ、11月19日から加工食品物流での荷待ち発生の実態と現場の課題を把握するためアンケート調査を開始した」と報告。アンケートは食品メーカー、卸、小売、倉庫、運送など各業態の事業者を対象に、WEB上で実施している。奥田氏は「荷主団体や全日本トラック協会などから、できるだけ多くの回答を得て、実態把握に努める。年内を想定しているが第2回検討会を開催し、改善に向けた議論を深めていきたい」と強調した。

アンケート事項には「物流の改善に向けた、荷主や倉庫・3PL事業者、運送事業者との協力関係」や「物流効率を高めるために取り組んだ施策」など、加工食品物流の関係者すべてに向け、調達・出荷や輸送、保管などに関し、直面する問題や現在取り組んでいる課題、効率化に向けた取り組みなどについて調査している。

「建設資材」「紙・パルプ」でも改善対策を

また、加工食品以外の品目でも改善対策の検討に着手する。
昨年の調査によれば、加工食品に次いで「建築・建設用金属製品」や「紙・パルプ」でも荷待ちが多く発生していたことを受け、建設資材と紙・パルプのそれぞれで改善を議論する検討会を今月中にも発足させる予定だ。奥田氏は「引き続き、輸送品目ごとの検討を行うことで、ドライバーの長時間労働改善とサプライチェーン全体の生産性向上を図っていきたい」と表明した。また、「トラック運送業の適正運賃・料金検討会」において、事業者が安定して事業経営を行うためのコンプライアンスや各種コストについて荷主と事業者が共通理解を持つための「手引書」策定に向け、年内の取りまとめを目指しているとした。

労働環境改善を図る事業法改正に理解

ドライバーの労働条件の改善や事業の健全な運営の確保に向け、議員立法による貨物自動車運送事業法の一部改正の検討が進められている。11月20日の自民党トラック輸送振興議員連盟(細田博之会長)では改正案の概要が示された(既報)。こうした動きについて、奥田氏は「ドライバー不足により物流が停滞することがないようにドライバーの労働条件の改善を図る観点から議員立法による法改正への検討が行われていると承知している。国交省においても、ドライバーの労働環境を改善し、担い手を確保するために働き方改革などの取り組みを進めており、方向性としては基本的に同様だ」と理解を示した。その上で「今後、議員立法が提出され、国会で法改正がなされた場合には、業界の意見を踏まえた上で、関係省庁とも連携しながら適切に対応していく」と述べた。
(2018年12月4日号)


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