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5年で売上高3000億円の企業グループを

M&A、物流と金融・不動産の融合など斬新な経営手法で、創業からわずか30年で売上高2000億円を超える企業グループに成長したSBSホールディングス。創業者、経営トップとして第一線で陣頭指揮を執り続ける鎌田社長に、「絶対につぶれない会社をつくる」という自身の経営観や、物流業界への将来展望、グループ入りが決まったリコーロジスティクスとのシナジーなどについて、話を聞いた――。
(インタビュアー/西村旦・本紙編集長)

急速なEC化で物流のあり方が大きく変わってきた

 

――ここ1~2年、労働力不足などに端を発したモノが運べない事態への懸念が「物流危機」「物流クライシス」というかたちで注目を浴びています。まずは、こうした状況についてどのように見ていらっしゃいますか?

鎌田 ひとことで言えば、インターネット通販の台頭により、世の中のモノの売れ方、つまり商流が大きく変化したことが最大の原因だと思います。これまでは、メーカーがモノをつくり、それを小売店が実店舗で販売するというかたちが主流でした。それがネット通販比率の急激な上昇によって、購買者が店舗で購入した商品を紙袋に入れて家に持ち帰るという消費行動が減り、宅配便に急速に置き換わっています。その結果、物量が一定の線を超え、物流が一時的にパンクしてしまったことで「物流クライシス」が起きました。当社のお客様であるアパレル企業などからも、ある時期を境にして急に店舗で商品が売れなくなったという声をよく聞きます。いま、世の中のモノの買い方、売り方、消費の流れというものが急激に変革しており、それに物流が対応し切れていないということが大きな課題になっています。

 

――我々が想像する以上のスピードで変化が進んでいる。

鎌田 そうだと思います。小売業の市場規模は約150兆円とも言われていますが、いまそのうちの約9兆円がECに置き換わっています。この流れが今後さらに加速していくことは間違いないでしょう。そうなると、既存の店舗販売に頼っている小売業は駆逐されていく可能性があります。小売りクラッシュが始まるわけです。商流の変化は当然、物流にも大きな影響を及ぼします。しかも、モノが売れる量、つまり物流のパイ(総量)が増えるわけではありません。我々物流事業者は、既存のBtoBを中心としたロジスティクスをやりながらも、ネット通販に代表される新しい領域のロジも手掛けていかなければ生き残れなくなってきます。我々自身がなくなってしまうという危機感を常に持ちながら事業を行っていくことが肝要です。

 

――EC化のスピードをどのように予想されていますか?

鎌田 例えば、アマゾンは日本市場で年率15%を超える勢いで成長しています。今後もそのペースで伸びていくと仮定すると、10年後には大手宅配会社1社分の宅配貨物がマーケットに誕生する計算になります。これは大変な事態です。10年後には、物流のあり方そのものが大きく変わる時代が、かなりの確率でやってくるということだと思います。

 

〝ヒト集め〟の力が物流企業の競争力を左右する

 

――いま物流業界では、自動運転やロボティクスといった新技術の開発が急ピッチで進んでいますが、こうした新技術の進展で変革の波を乗り越えられるものでしょうか?

鎌田 自動運転の領域では、完全自動化を意味する「ステージ4」が実現するのに約20年かかると言われています。私自身はそれほどはかからない、例えばタクシーの完全自動運転は10年程度で実現できると考えています。トラックの自動運転についても時間軸はほぼ同様でしょう。ただ、トラックの場合は、運転自体は自動化できたとしても、荷物の集配や積み卸しの部分を自動化することは困難です。つまり、宅配を中心としたラストワンマイルの領域では引き続き一定のマンパワーが必要になるだろうと考えています。

 

――EC化率の上昇により宅配貨物が急激に増えていく。しかしながら、自動化できる領域も限られるとなると、ヒトを集めることが物流事業者の競争力を大きく左右することになりますね。

鎌田 それは間違いありません。当社グループでは昨年7月からECの配達員として、軽自動車のドライバー募集を開始しましたが、すでに200人を専属化しました。当社が軽自動車を購入してドライバーに貸与して、個人事業主として働けるようにするスキームです。その取り組みを通じて見えてきたことは、個人事業主として採用して、宅配業務のノウハウを教えつつ、普通のサラリーマンよりも稼げるような仕組みをつくりさえすれば、ドライバーは集まってくるということです。このやり方で、年間500人程度のドライバーを戦力化できる手応えを感じています。これを10年続ければ5000人の専属ドライバーを確保することができます。

 

ラストワンマイル最大の「補完勢力」を目指す

 

――御社は外資系EC大手からBtoCのデリバリー業務を受託しています。

鎌田 いま爆発的な勢いで業務量が拡大しています。それに加えて、当社グループではBtoB通販の領域でも数多くの軽自動車を動かしています。先般、SBSグループの仲間入りが決まったリコーロジスティクスもオフィス通販「たのめーる」の事業を手掛けています。いま、このBtoB通販も急速な勢いで成長しています。現在は関東エリアが中心ですが、お客様からは大阪や名古屋など大都市部にもネットワークを広げて欲しいとの要望を受けています。

 

――いまグループ全体でどのくらいの輸送力を持っていますか?

鎌田 リコーロジスティクスは「たのめーる」事業で、関東エリアにおいて800台規模の軽自動車を動かしています。また、既存のSBSグループではSBS即配サポートが700台規模、外資系ECのデリバリー業務でも700台規模が稼働しており、今期中に1000台規模まで増やします。つまり、グループ全体で2200台から2500台規模の軽自動車の輸送力を持っていることになります。これはかなり強力な輸送インフラです。今後は、BtoB通販を中心に関東以外の大都市部にもネットワークを広げていきます。先ほど述べたようにヒトを集める力もついてきており、そう遠くない将来に全国で5000~1万台規模まで引き上げていけると考えています。

 

――その機動力は、3PL事業にも大きな〝強み〟になりますね。

鎌田 グループの中で、「足」と「倉庫」を一緒に持っていることは大きな強みです。〝運ぶ〟ことの価値が高まっている現在、足回りを強化することは3PL事業を強くすることと同義であり、その2つが揃うことで大きな相乗効果が生まれます。また、商流が通販へ急速にシフトしていく中で、大都市圏で配送ネットワークを確立することができれば、BtoB領域において強力なインパクトを持つことになります。

 

――将来的に拡大した輸送力をどう位置付けていくお考えでしょうか?

鎌田 ラストワンマイルにおける最大の補完勢力になることを目指します。我々はBtoC宅配の領域でヤマト運輸さんや佐川急便さんに伍していこうとは思っていません。彼らのように全国津々浦々で面的な配送網を構築するのではなく、大都市部を中心に宅配大手やEC大手をしっかりサポートしていける補完的役割をまっとうしていく考えです。他方、BtoB通販については、3PL事業を拡大する上で不可欠な機能であり、しっかりと市場を獲りにいきます。

将来的に5000~1万台規模に増やす

 

〝ハッピーになるM&A〟を目指していく

 

――さきほどお話に出たリコーロジスティクスですが、8月に同社の株式3分の2を取得して連結子会社化します。

鎌田 リコーロジスティクスの売上高は約720億円で、売上規模では当社として最大のM&Aになります。我々はインドでの投資に失敗し、2015年12月期決算で119億円の損失を計上するなどバランスシートが一時的に痛みました。その回復に約3年かかりましたが、ようやく自己資本を戻し、再び戦える力が戻ってきました。その間、M&Aを封印していたわけではありませんが、我々はベンチャー企業が大きくなってきたという歴史もあり、グループ内部の体制を整備するのに一定の時間がかかったこともまた事実です。当社は昨年12月に創業30周年を迎えましたが、本来であれば、それまでにグループ売上高2000億円を達成するつもりでした。今回、運よくリコーロジスティクスの案件に巡り合うことができ、少し遅れましたが、売上高2000億円を達成することができます。両社の直近の売上高を合計すると2245億円になります。

 

――おそらく競合先が数多くいる中で、御社のどういう点がリコー側に評価されたと思いますか?

鎌田 私は「買収」という言葉が好きではなく、「仲間に入っていただく」という言い方をしていますが、我々が手掛けてきたM&Aは、新しい仲間を迎え入れて、彼らと一緒に改革に汗を流し、ともに大きくなってきたという歴史があります。SBSの歴史は仲間を増やしつつ、彼らとともに大きな企業勢力に立ち向かっていくというベンチャーの歴史そのものです。そうした考え方や姿勢がリコー本体の皆さんに評価していただいたと考えています。

例えば、05年に我々の仲間に入った東急ロジスティック(現・SBSロジコム)は当初、売上高270億円、営業利益10億円の会社でした。しかも、営業利益のうち8億円は不動産事業で、物流事業の利益はわずか2億円程度でした。それが現在では売上高500億円、営業利益35億円の会社となり、物流コンペでも勝てる会社に成長しました。給与水準もかなり上がり、社員のやる気も高まっています。

 

――グループ入りした会社の社員がハッピーになるM&Aを目指している。

鎌田 その通りです。日本におけるM&Aは、買った後も何もせず、単にグループにぶらさげるだけで連結利益を増やすだけのケースが多いように思います。それでは買われた企業も従業員もハッピーにはなれません。我々は一緒になって改革を進め、勝ち残っていける会社にしていきます。当然リコーロジスティクスもそうしていきますし、間違いなくそうなっていけると確信しています。

リコーロジスティクスのグループ化で大きく飛躍する(左からリコーロジスティクス・若松社長、鎌田社長、リコー・山下社長)

 

リコーのシステム構築力が加われば、かなりのことができる

 

――リコーロジスティクスが持っている機能面では、どういった点にとくに魅力を感じていますか?

鎌田 長らくメーカー物流に深く携わってきたこともあり、システム構築力に優れています。社員も工学など理系出身の人材が多いという特長があります。実はあまり知られていませんが、リコー本体はマテハンなど物流機器に応用できる技術開発も行っており、マテハン分野に本気で参入したらかなりのことができるのではないかという直感があります。当社とリコーで物流分野のハイテク技術を共同開発することも真剣に検討してみたいと思っています。3PL事業におけるSBSの営業力に、リコーグループが持つ技術力が加われば、かなりのことができるような気がしています。

 

――リコーロジスティクスが持つシステム構築力に、SBSの強力な営業力が加われば大化けする可能性がありますね。

鎌田 リコーロジスティクスの場合、物流が本業ではないメーカーの子会社という立場もあり、物流への投資がままならないという課題があったと思います。これは物流子会社に共通する点だと思いますが、どうしても工場など本業部門への投資が優先されてしまいます。その点、SBSグループは物流が本業ですから、我々の仲間に入れば、必要な投資をスピード感をもって実行することができます。

 

「規模拡大」の挑戦を30年間続けてきた

 

――SBSは創業以来、M&Aという手法を通じて一貫して物流における「規模の経済」を追及してきました。物流事業を営む上での鎌田社長の基本理念を改めてお聞かせて下さい。

鎌田 やはり規模の小さいベンチャーでは本当の意味で〝攻めの経営〟ができません。物流業はトラックを買うにもお金が掛かりますし、少し大きな倉庫を建てようとすれば100億円規模の投資が必要になります。3PLをやろうとしても、立ち上げ当初は3億、5億の一時的な損失が出ることがあります。ベンチャーではそうした損に耐えることができませんが、規模が大きくなれば一時的に吸収できる体力があります。また、いまの物流業界ではトラック輸送だけでは成長することはできません。全国ネットワークを持っている超大手の運送会社ならともかく、区域事業だけで食べていくことは非常に難しい。倉庫を持って3PL事業を展開しながら、その中にトラック運賃を組み込んだ形にしなければ、運賃を叩かれてほとんど儲けが出ない事業構造になってしまいます。

私は創業以来、苦い経験を重ねながら、何よりも規模を拡大させるための挑戦を30年間続けてきました。今回、リコーロジスティクスが仲間に加わったことで、グループの売上高を早期に2400~2500億円規模に引き上げることが可能であり、3000億円も射程に入ってきました。日本の物流会社で3000億円の売上げがあれば、トップ10に入りますし、どこと勝負しても見劣りすることはありません。今後は、まずは5年以内に3000億円を達成して、次に5000億円、1兆円を目指していきます。

 

100万坪の施設開発も夢ではない

 

――SBSグループのビジネスモデルは、3PL事業と金融・不動産を融合した点に特徴があります。このスタイルは今後も変わりませんか?

鎌田 変えるつもりはありません。このままやり続けます。なぜ自前で倉庫を建てるかというと、物流不動産が開発した施設は賃料が高いからです。彼らはビットで土地を購入しますから、そのコストを反映すれば賃料は自ずと高くなります。そうした施設を我々が借りて事業を営むことになれば、庫内オペレーションだけで収益を合わせていかなければなりません。やはり、我々も倉庫の利ザヤは欲しいわけです。ただ、利ザヤはとるものの、それでもお客様には安く提供できます。なぜなら安くて、なおかつお客様が必ずつく土地にしか倉庫を建てないからです。そして、施設が稼働すればすぐに流動化してお金が入るようにします。そのお金が次の施設を建てるための資金になっていくわけです。

SBSの3PL事業は施設開発と実際のオペレーションとの両輪で回っているわけです。この10年で約10万坪を開発しており、いま千葉県野田市に大型施設の開発も進めています。こうした開発中の施設が稼働すれば数年内に20万坪規模まで拡大します。そして、稼働した拠点から順次流動化して資金を回転させていけば、将来的に50万坪、100万坪まで拡大させることもそう難しいことではありません。例えば、リコーロジスティクスも全国で10万坪ほど倉庫を借りていますが、いずれ賃貸契約が切れます。その段階でSBSの倉庫に拠点を移していけば、リコーロジスティクスにも利ザヤを提供できるようになります。

 

――将来的に条件に適う土地が見つからず、開発ペースが鈍化するリスクはありませんか?

鎌田 我々は市街化調整区域をはじめ、港湾地区や事業化には難しい土地を中心に開発していますので、物流不動産ともあまりバッティングすることはありません。また、絶対にデフォルトしない価格、どんな時代になっても生き残ることができる価格でしか手を出しません。金融のロジックを駆使しながら、一方でリスクもしっかり見ています。

計23万m2の超大型施設となる「野田瀬戸物流センター(仮称)」

 

アクセルもブレーキもベクトルは合っている

 

――そのあたりは、ご自身の原点である「絶対につぶれない会社をつくる」という理念が生きているのでしょうか? 鎌田社長の強みはアクセルよりも、むしろブレーキにある?

鎌田 両方だと思います。当社には銀行など金融出身者も多いですが、彼らには「もし俺が変な判断をしたら羽交い絞めで止めてくれ」と言っていますが、いまのところ、そうした事態は起きていません(笑)。ということは、アクセルもブレーキもいまのところはベクトルが合っているのだと思います。もちろんアクセルは踏みますが、それほど無茶なものはありません。ちゃんと計算できていますし、無謀なことは一切していません。ある意味でもの凄く慎重だと思います。私は開発物件については、人まかせにせず、自分で実際の土地を見にいきます。ただ、創業以来、物流も不動産、金融も全部自分でやってきましたから、ある程度のことは瞬時に判断できてしまいます。3分、5分で即断即決することも多いです。

 

――そのあたりの事情が分からないと、リスクを顧みずに突っ込んでいると思われこともあるのかもしれませんね。

鎌田 端から見ていると「SBSは無茶苦茶なことをしている」と思う人もいるかもしれませんね(笑)。でも、しっかり計算しています。物流施設についても、お客様が入った時点で流動化して、投資資金を回収しており、それほどお金がいらなくても回せる仕組みになっています。何百億円も投下しているように見えて、つくった先から売ってそれを元手に新たな施設をつくるという形でぐるぐる回しているわけです。バランスシートもしっかり計算しています。

 

倉庫は償却後がいちばん危ない

 

――例えば倉庫会社などにとって施設は〝保有〟が基本です。償却が終われば、それが全部利益になる。そこが旨味なのでは?

鎌田 むしろ、それが危ないんです。償却が終わると全部が利益になりますが、それによって社員が安心して緊張感がなくなってしまいます。例えば、ある倉庫を坪4000円で貸しているとします。お客様からは「お前のところの倉庫は償却が終わったのだから安くしろ」と言われたとします。そうすると、営業マンは実際儲かっているので、それほど抵抗感もなく3000円にしてしまいます。そんなことを繰り返していると、いつの間にか2500円、2000円になってしまう…。だから当社では各営業所に〝家賃〟を課して絶対に下げることはしません。流動化した後も、必ず家賃をとるようにします。それによって、オペレーション部隊は、家賃が払えるような料金水準を維持しようと努力するわけです。倉庫会社に限らず、一般の物流企業は償却という考え方を普通に持っています。私から言わせると、そこがダメだと思います。

 

――ある意味で〝真逆の発想〟ですね。

鎌田 我々は3PL事業者です。倉庫や物流センターは必ずしも資産として保有する必要はなく、要は使い勝手の良い倉庫が〝使えれば〟いいわけです。当社がいまのペースで開発して、保有も続けると借金だらけになってしまいます。だから、つくった先から売って流動化する。そうすれば借金も増えないし、ある意味エンドレスで倉庫を開発することができます。50万坪、100万坪も夢ではない、というのはそういう意味です。やはり、不動産・金融の知識と物流事業のノウハウを融合させたところが、他社にないSBSグループの最大の強みだと思います。

 

――今後、機能面で強化していく事業は?

鎌田 海外はもう少し強化したいと思っています。当社はインド事業の失敗という苦い経験を積んでいますが、そこで得られた教訓は、フォワーディングという事業はとても難しいということです。フォワーディングは極端な言い方をすれば紙と鉛筆だけでできる商売ですが、逆に言うと属人的な面が強くあり、人材がごそっと抜けると途端に立ち行かなくなってしまいます。

ただ、リコーロジスティクスは欧米や中国を中心に国際物流で百数十億円規模の売上げがありますし、タイでの事業も強化していくことになっています。こうしたリコーグループのネットワークを活用していけば、そこそこのレベルにはなれるだろうと思っています。順番的には、まず国内を中心に売上高3000億円のレベルまで高めた段階で、フォワーディングを中心に海外への挑戦に力を入れていこうと考えています。

「いままでのやり方が通用しない時代がやってくる」

 

物流業界は間違いなく淘汰の時代に入る

 

――最後に。これからの物流業界の再編はどのように進んでいくと思われますか?

鎌田 事業者の数は間違いなく減るでしょう。先日、年商50~100億円規模の事業者の社長さんと話をする機会があったのですが、とにかくヒトが集まらない、募集をかけてもヒトが来ないと言っていました。ブランド力がある大手にはヒトが集まりますが、そうでないところは定員割れを起こしているのが現状です。また、後継者がいないという問題も浮上しています。そこから再編が加速していくような気がしています。外国人労働者の雇用を解禁するといった大きな政策変更がない限り、今後は6万数千社あるトラック事業者の淘汰が始まっていくでしょう。

それに加えて物流子会社も再編のカギを握っています。親会社であるメーカーにとって、物流は本業ではないので、なかなか思い切った投資はできません。そのために、ポテンシャルはあるのに成長できていない会社がまだまだ多くあります。物流子会社はかつて社員の受け皿という機能もありましたが、いまはそんな時代ではありません。M&Aの対象として、物流子会社の存在価値は非常に高いと言えます。

 

――採用力や働き方改革への対応も含めて、強い会社はより強く…という方向が強まりそうですね。

鎌田 時代は大きく変わっています。物流のあり方も急速に変化し、いままでのやり方では通用しない時代に突入しています。経営者はそこに気が付かないと乗り遅れてしまうと思います。

鎌田正彦(かまた・まさひこ)
1959年6月22日生まれ、宮崎県延岡市出身。東京佐川急便を経て、87年12月関東即配(現・SBSホールディングス)を設立。2003年12月JASDAQ上場。12年12月東証2部、13年12月東証1部上場。