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【トラック・働き方】国交省が運賃のコスト構成でガイドライン

2017.12.26

国土交通省が20日に開催した第5回トラック運送業の適正運賃・料金検討会(藤井聡座長・京都大学大学院教授)で、標準貨物自動車運送約款の改正に伴う運賃・料金の変更届出が15日現在、全国で3割にとどまっていることが分かった。トラック運送事業にかかる諸費用について事業者と荷主の共通理解と認識が十分でないことから双方を対象に運賃のコスト構成イメージを把握できる手引書を来年早期に策定する。

諸費用、事業者と荷主で共通理解の形成を

トラック事業者が適正な水準の運賃・料金を収受できるようにするため、標準運送約款を改正し、11月4日に施行。運送の対価である「運賃」とそれ以外の役務の対価である「料金」の別建て収受の環境が整備された。改正標準約款を利用するトラック事業者側は、運送以外の「積込料」「取卸料」「待機時間料」を新たに設定した運賃・料金表の届出を施行から30日以内に行わなければならない。届出を行っていない場合、監査の違反対象となるが、15日現在で届出件数は全国平均30・5%。対応が進んでいない実態がうかがえる。

トラック運送業では、トラック車両の購入・更新、点検・整備等のメンテナンス、ドライバーの確保、燃料費、保険への加入など様々な費用が必要となるが、外部から見えにくい。こうしたコストが確保できなければ、老朽化した車両の更新、次世代のドライバー確保・育成、安全運行のための必要な点検・整備等に支障が出て、我が国の経済活動、国民生活を支えるトラック運送機能を提供できなくなる恐れがある。

とくに大型トラックなどのトラックドライバー育成は時間がかかることも踏まえ、全産業平均と比べ低賃金・長時間労働となっている労働条件の改善が求められる。それには適切な運賃・料金の収受が前提となるが、トラック運送にどのような費用が必要となるのかについて、必ずしもトラック事業者、荷主との間で十分な理解が共有されていない面があり、共通理解の形成を促すため運賃のコスト構成や費用の標準的な水準のイメージを手引きとして取りまとめる。

検討会で挨拶に立った国交省自動車局貨物課の平嶋隆司課長は「運賃・料金の別建て収受を促進するためには、荷主と事業者の相互理解が重要だと考えている。運賃のコスト構成をわかりやすく提示する手引きを通じ、改正標準約款の普及を後押ししていきたい」と説明した。

トラック運送は現在有効求人倍率が2倍を超えるなど、ドライバー不足が大きな課題となっている。少子高齢化が進む中、トラック運送機能が維持・安定的に提供されるには、「働き方改革」を進め、長時間労働を抑制し、働きやすい環境を整えるとともに、限られたドライバーの運転時間を有効活用できるよう、荷主側の協力が不可欠。トラック運送事業にかかる費用について荷主の理解が求められる。
(2017年12月26日号)


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