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【トラック・物流予測】物流各社“あの手この手”の繁忙期対策

2017.12.14

年末繁忙期に突入した物流業界。現時点(13日現在)では大きな混乱や配送遅延などは起きていないが、これから最繁忙期を迎えるにあたって、傭車の確保がさらに困難になるなど厳しい事態が起こることが予想される。特積み最大手の西濃運輸では、1日ごとに混雑度合を予想した「物流予測カレンダー」を顧客に配布、リードタイムに余裕を持った出荷を呼びかけるなどの対策を行っている。

景気回復とドライバー不足で、深刻な需給ギャップ

今年の年末繁忙期は、国内景気の回復で企業の出荷が前年以上に増えることが確実。一方、ドライバー不足など労働力不足がさらに進んでいるため、需給ギャップが拡大し、車両の確保が追いつかない状況が起きることが懸念されている。
帝国データバンクが毎月公表している景気動向調査(11月分)によると、「運輸・倉庫」の指数が2014年3月以来3年8ヵ月ぶりに50の大台を超え50.7となった。前月比でも0.8pt増で5ヵ月連続での改善。

全日本トラック協会が毎月公表している求荷求車情報ネットワーク「WebKIT」の11月のスポット運賃指数は「122」となり、10年4月の調査開始以来、11月としては過去最高、全体でも消費増税直前の15年3月に記録した「126」に次ぐ2番目の高水準となった。需要を示す11月の求車登録件数(荷物情報)は前年同月比33・1%増と大幅な伸びを記録した。12月は輸送需要のさらなる逼迫が予想されるため、一部では最高値を更新するとの声も出ている。

また、民間で求荷求車事業を幅広く展開するトランコムでも、12月に入り荷物量が空車量を大きく上回る状態が続いている。

曜日によって物量が前年比25%増に

こうした中で、トラック運送事業者でも独自の繁忙期対策を打っている。BtoB領域で最大物流を動かす特積み最大手の西濃運輸では、「物流予測カレンダー」を顧客に周知し、出荷前倒しや平準化を呼びかけている。同社では「現時点で、同業他社が対応困難な貨物の流入等が多数確認され、物量の伸長率は昨年の同時期と比較しても高く、一部エリアでは重量物、ロット物の対応が困難な場合も予測される」と注意を促している。

同社の「物流予測カレンダー」によると、前年物量比で125%に達すると予想される日は15、18、21、22日となっており、19、20、25日についても前年比20%程度の伸びを予測している。このため、顧客に対しては「通常リードタイムから+1~2日の余裕を持った出荷」「重量物、ロット商品は積み合せ貸切の利用検討を」「関東1都3県宛と九州方面宛は、特に例年以上の物量を予測しており、配達遅れや発送残荷の発生を見込んでの出荷計画を」などを要請しているという。

宅配業界でも追加対策、佐川は指定届け日明記

すでに宅配業界では、ヤマト運輸や佐川急便が「出荷日の1週間前に連絡を」「集荷予約は前日までに」など繁忙期対策を打ち出している。佐川急便はこれに加え、12月30日~1月4日までの年末年始期間中、「指定日配達シール」に指定届け日を明記するよう求めている。おもに法人顧客を対象にしたもので、指定届け日を分かりやすく表示することで現場の仕分け作業などオペレーション効率化を念頭に置いた措置。
各社とも“あの手この手”で繁忙期を乗り切ろうとしている。
(2017年12月14日号)


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