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【トラック・医薬品物流】中央運輸が全国でGDP対応の医薬品輸送網

2017.12.12

中央運輸(本社・東京都中央区、赤澤善博社長)は2019年度を最終年度とする中期3ヵ年経営計画内に、同社および協力会社が全国で運用する医薬品共配センターをGDPに対応させた「メディカルクールターミナル(MCT)」としてネットワーク化し、GDP対応の医薬品保冷配送サービス「ダイレクトクール」を全国展開する。これに先駆け、18年9月にはGDPおよびBCP対応を完備した自社最大の物流施設「岩槻配送センター(仮称)」をさいたま市岩槻区に開設し、ダイレクトクール事業における旗艦拠点としての運用を開始する。

GDP、BCP対応の医薬品共配センター

岩槻配送センターは延床面積1万9750㎡の5階建て。1階を医薬品共同配送のターミナルとし、2~3階は医薬品の一時保管庫に利用する。施設は自社で開発し、土地は以前に取得済みだった場所。国道122号線に隣接し、東北自動車道の岩槻ICと圏央道・白岡菖蒲ICからともに約5㎞と至近にあり、関東および東北、甲信越方面の物流を見据えた広域医薬品輸送に最適な立地となっている。トラックは協力会社車両を合わせて100台を配備する。

新センターはGDPにおける高度な温度管理品質への要請に応え、保冷共同配送専用の保冷荷捌き設備(2~8℃、約1000㎡)にはオートシェルター18基を備えることで、完全に外気をシャットアウトした上でのトラック積卸し作業を可能とした。常温管理エリア(30℃以下)もシートシャッターで外気の流入を遮断。また、医薬品メーカーなどへの庫内温度のマッピングデータの提供にも応える。さらに、BCP対策として免震構造である上、非常用発電設備や自家給油スタンド(軽油・ガソリン)も設置する。

岩槻配送センターには従来、越谷配送センターに置いていた中央運輸の「医薬品共同配送ターミナル」機能を移管する計画。同所はダイレクトクールにおける東日本地域の集配拠点でもあり、この機能も岩槻配送センターへ移す。越谷配送センターでは保冷機能を高める改修を施して、医薬品の保管業務に専念する。越谷配送センターは11年の東日本大震災でも東北・関東向け医薬品物流の起点として大きな役割を担ったが、保冷スペースが狭隘化していることに加え、厳格化する温度管理品質への要請にも応えるため、岩槻配送センターの新設を決めた。

19年度までにMCTの全国網を完成

ダイレクトクールは既に一部地域で運用を開始。医薬品メーカーからは、今後施行されるGDPへの対応としてドアtoドアの温度管理が求められており、ダイレクトクールではメーカーの工場や物流センターから各地域のMCTを経由し、主要卸の物流センターに至る一貫した保冷配送を行っている。MCTは中央運輸と同社の協力会社が医薬品共同配送ターミナルとして運用してきた施設を「温度管理」「衛生管理」「セキュリティ」などの項目でGDP基準を満たすかどうかチェックして認定。既存のネットワークを活かしながら、全国一律の品質基準で保冷配送ができる仕組みとした。

MCTは現在、中央運輸の越谷配送センターのほか、仙台MCT(宮城県)、上田MCT(長野県)、牧之原MCT(静岡県)の4拠点が稼働。来年1月には北海道でも札幌MCTが運用を開始するほか、19年度までに、花巻MCT(岩手県)、郡山MCT(福島県)、新潟MCT(新潟県)、神戸MCT(兵庫県)、福岡MCT(福岡県)も整備し、ダイレクトクールの全国配送を実現したい考えだ。

赤澤社長は「GDPをはじめとする医薬品メーカーからの品質管理要求が強まる中、今あるアセットを活かしながら極力、温度逸脱が起きない輸配送網を構築することで、高品質で高効率な医薬品物流を実現したい」と話す。
(2017年12月12日号)


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