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【物流倉庫】日立物流/R&Dセンタ、20年までに「次世代センター」稼働

2017.12.05

日立物流(本社・東京都中央区、中谷康夫社長)は物流新技術の開発を急ぎ、2020年度までに、倉庫内作業を一貫して自動化させた「次世代センター」の開設をめざす。11月28日に開かれた、物流新技術の研究開発専用施設「R&Dセンタ」のメディア向け見学会で方針を明らかにした。経営戦略本部長の佐藤清輝・執行役常務は「人手不足が深刻化する中、自動化および省人化、省力化の技術は非常に重要になっており、待ったなしで進めていく」ことを強調した。

19年には富山で“無人化”標榜する新拠点

日立物流では16年7月に、多摩Ⅲ期物流センター(東京都武蔵村山市)の4階部分約4360㎡を使用して「R&Dセンタ」を開設。実際の倉庫現場と同等の環境下で、パートナー企業による新型の設備機器や新技術の実運用に向けた導入検証を行っている。
同所での研究開発を経た自動化・省人化技術は順次、実際の物流センターへ導入されている。一方で、現在は「入荷検品」や「搬送」「ピッキング」「検品」といった個別の業務を自動化する機能となっており、構想に掲げる「次世代センター」ではこれらの技術を連携させて、可能な限り倉庫作業を自動化した物流センターを実現する。

次世代センターの開設に先駆け、今年5月に稼働した土浦2期物流センター(茨城県かすみがうら市)は自動搬送機「Racrew(ラックル)」を中心に前後の搬送作業を自動化して、一気通貫での省人化を達成。18年2月稼働見込みの関西第二メディカル物流センターではロータリーピースソーター、移動ラック、無人フォークを採用予定で、設備稼働率の最大化を図る。

さらに、19年に自動倉庫を増築する富山Ⅳ期物流センター(富山県上市町)では、自動倉庫に加えてデパレタイザーや無人フォーク、オートラベラーを導入して、省人化ではなく“無人化”を標榜する次世代モデルセンターとしての構築を計画している。

首都圏を中心に物流現場へ新技術導入進む

R&Dセンタで今、研究対象となっている新技術は「Racrew」「ピッキングロボット」「無人フォークリフト」「RFID検品システム」「画像検品(バーコード一括検品)」「追従運搬ロボット」「デパレタイズロボット」「パレタイザロボット」など。

このうち、最も導入が進む「Racrew」は15年の首都圏東物流センターへの導入を皮切りに実用化が進み、今期中には首都圏東物流センターでも追加導入の予定にある。将来的には、真空吸着式ハンドを用いた「ピッキングロボット」との協調制御でピースピッキングの完全自動化をめざす。

「無人フォークリフト」も既に2センターで実稼働中。走行速度は最大時速3・6㎞で有人フォークの約3分の1だが、夜間のパレット搬送業務や有人フォークと組み合わせて運用することで省人化に対応できる。

アパレル業界での実運用を背景に高い関心を集めるRFID関連技術では、カゴ台車に積みつけられた商品のRFIDタグを、通過時に最大300個まで一括で読み込める「エフテクトゲート」を開発し、顧客との検証を進めている。

カゴ台車に積まれた商品ケースのバーコードラベルを、カメラ3台の画像で一括検品する「画像検品」は今月中に東京都内の小売店舗向けの配送センターで実稼働する予定にあり、年末繁忙期の業務負荷軽減を狙う。

コンベアへのケース投入作業を自動化する「デパレタイズロボット」も18年2月に神奈川県内の流通型物流センターに導入する予定。1時間当たりの処理能力は300~350ケースと、人力による作業量(400~500ケース)には及ばないが、作業者への負担が大きい業務であり、ロボット化への期待は高い。

ソフト面でも最新技術の開発導入に着手

一連の自動化技術に加え、同社ではITと物流ノウハウを融合した分析技術「スマートロジスティクスコンフィギュレータ(SLC)」も開発し、今期から物流センター内の提案・物流改善やネットワーク全体の見直しなどに活用している。また、今期からは「現場見える化システム(WVS)」の開発にも着手して、人員計画や現場進捗管理などに用いてさらなる現場効率化を可能にするとともに、SLCと連携させてより高度な分析、改善にも繋げる。
(2017年12月5日号)


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