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国内総輸送量3年連続マイナス=NX総研・貨物輸送見通し

2024.07.23

NX総合研究所(本社・東京都千代田区、田中博之社長)が発表した「2023・2024年度の経済と貨物輸送の見通し」改訂版(24年7月17日発表)によると、2024年1~12月の日本経済の実質成長率は0・2%減とマイナス成長を予想した。個人消費と住宅投資がマイナスになるなど民需の寄与が期待できないことからマイナス成長を予測した。

なお、NX総研では今回の予想発表から「年度」を1~12月と定め、当年4月から翌年3月までの期間は会計年度と表記したうえで予想値などを発表することとした。

消費・生産・建設のいずれも貨物量が減少する見込み

実質成長率のマイナス予想を踏まえ、24年度(1~12月)の国内貨物総輸送量は40億6490万tと予想。前年度の41億4710万tと比べ8220万t減、1・6%減と見込んだ。前年度比の推移をみると22年度の0・9%減、23年度の1・6%減に続き3年連続のマイナスとなり、減少幅が拡がってきた。

品類別輸送量の見通しをみると、24年度の消費関連貨物は8億6900万tで前年度比0・2%減、生産関連貨物は14億80万tで0・9%減、建設関連貨物は17億5650万tで3・7%減といずれもマイナスを予想。実質可処分所得の減少が続く中、個人消費がマイナスとなることから消費関連貨物は23年度の0・9%増から0・2%減とマイナスへ反転。食料工業品や日用品などはやや低調な荷動きになると予想した。生産関連貨物は上期の2・0%減から下期は0・2%増と小幅ながら増加すると期待。自動車・自動車部品は堅調、一般機械は伸び悩みと予想した。一方で鉄鋼、化学工業品はマイナスの荷動きと見込んだ。建設関連貨物は前年度に引き続きマイナスの3・7%減。砂利・砂・石材、セメント・生コンを中心に低調な荷動きが続くと予想した。

鉄道は微増、トラック・内航・国内航空は減少

国内貨物輸送量を輸送モード別にみると、JR貨物の鉄道コンテナ輸送は23年度の1・0%減から24年度は0・7%増とプラスに転換。一方、車扱は23年度の1・7%増から1・3%減にマイナスへと反転を見込む。

営業用トラックは23年度の1・8%減から24年度は1・1%減と3年連続のマイナス。自家用トラックは23年度の0・7%減から3・6%減への減少傾向が続くと予想した。

内航海運は23年度の3・9%減から24年度は2・7%減と3年連続のマイナスの見込み。国内航空は23年度の3・7%増から24年度は1・0%減と3年ぶりのマイナスと予想した。

国際航空は輸出輸入ともにプラスの予想

24年度の国際貨物輸送量は外貿コンテナ貨物と国際航空ともに概ねプラスの傾向と予測。外貿コンテナの輸出は23年度の2・3%増から24年度の2・7%増と2年連続のプラス。輸入は23年度の7・0%減から24年度は0・4%増と2年ぶりのプラスの見込み。

国際航空は輸出が半導体関連の回復と航空シフトの再発により23年度の21・6%減から24年度は3・4%増と3年ぶりのプラス。輸入は生産財の堅調な荷動きが継続し23年度の18・0%減から24年度は2・1%増と3年ぶりのプラス転換を見込んだ。

直近の「荷動き実績」はプラスとなるも…

貨物輸送量予測と同時に、国内向け出荷量「荷動き指数」の24年4~6月の実績と7~9月の見通しについて速報値を発表した。荷動き指数は6月初旬にメーカー・卸の主要2500事業所を対象に調査し、うち631社から回答を得た。

それによると4~6月実績は「マイナス12」となり、前期(1~3月)の「マイナス17」より5pt上昇した。一方、7~9月見通しをみると前期(4~6月)と同じ「マイナス7」と横ばいの推移を予想。4~6月の荷動き実績は上向いたものの、7月以降の荷動きについては慎重な見方もうかがえる。
(2024年7月23日号)


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