日通/ビール物流4社、鉄道輸送ルート寸断への対応強化
日本通運(本社・東京都千代田区、堀切智社長)はこのほど、アサヒロジ(本社・東京都墨田区、児玉徹夫社長)、キリングループロジスティクス(本社・東京都中野区、安藤弘之社長)、サッポログループ物流(本社・東京都渋谷区、田島一孝社長)、サントリーロジスティクス(本社・大阪市北区、武藤多賀志社長)の4社それぞれと、自然災害発生時における鉄道輸送のバックアップ(代替)輸送体制の構築と、「2024年問題」をはじめとする将来的な労働力不足に対応するため「物流課題解決に向けた協業体制強化による物流安定化に関する協定書」を締結した。今後は協定に基づき、日通とビール物流子会社4社は、鉄道貨物輸送事業とトラック輸送事業の協業体制を強化し、自然災害発生時での貨物列車の運休や鉄道不通時において、迅速かつ円滑に代替輸送や別ルートの輸送などバックアップ輸送を実施できる体制を構築する。
日通は、自然災害が引き起こした鉄道不通など輸送障害の発生時に、ビール物流子会社4社が対応可能な範囲でトラックを手配し、各貨物駅において鉄道で輸送できない貨物を車両に積み替え、配達先まで届けるサービスの構築を目指す。また、国は30年度の交通・運輸分野でのCO2排出量を13年度対比で35%削減する目標を掲げており、物流業界も脱炭素化の動きを加速していくことを見据え、環境優良性能の高い鉄道貨物輸送サービスの利用拡大を提案し、各社のESG経営に貢献する。加えて、2024年4月に適用されるドライバーの労働規制厳格化で懸念される中長距離の輸送能力不足(「2024年問題」)に対応した輸送モードとして、これまでトラックで輸送しているルートでの鉄道貨物輸送を提案していく。
気象予報会社と連携、事前情報でBCP提案も
今回の協定は日通とビール物流子会社4社によるものだが、日通は「2024年問題」への対応に取り組む荷主企業がさらに増えると想定し、同様の協定に参加する荷主や物流子会社のさらなる拡大を図る方針だ。また、地震、台風、集中豪雨、大雪など自然災害に起因する鉄道輸送ルートの寸断が、荷主にとって懸念材料となっている。その対策として、日通は気象予報会社と連携し、自然災害発生により鉄道輸送網が寸断される前に、気象予報データや鉄道運行予測情報に基づき、早期にトラック輸送への転換を実施するなどBCPに対応した提案も行っていく考え。
(2023年7月6日号)