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NXHD、欧州物流大手カーゴ・パートナー社買収

2023.05.18

NIPPON EXPRESSホールディングス(本社・東京都千代田区、齋藤充社長)は12日、オーストリア・ウィーンに本拠地を置くCargo-Partner社およびグループ62社の全株式を取得する株式譲渡契約を締結したと発表した。株式の取得価額は1267億5000万円程度となる見通しで、今年11月から来年5月にかけて順次、子会社化を進める。欧州に事業基盤を持つ同社グループを傘下に迎え入れることで、フォワーディング事業を中心に貨物取扱量を拡大し、グローバル市場での存在感を高めていく。

カーゴ・パートナー社は1983年創業で、資本金は4億5000万円。航空・海運フォワーディングが主業としており、欧州における産業集積地として注目が高まる中東欧地域に強固な事業基盤を持つ。また、自動車、電機・電子、医薬品などを中心に欧州、アジア、北米でフォワーディング事業を展開している。2022年12月の連結売上高は3095億900万円、連結EBITは107億2200万円。

NXHDでは、カーゴ・パートナー社をグループ化することで、中東欧地域におけるロジスティクス基盤を強化することによる欧州でのサービス拡充、航空・海運フォワーディング取扱量の拡大によるグローバル市場での競争力強化、アジアと欧州を結ぶロジスティクス需要への対応――などを進め、相互補完によるロジスティクス事業のシナジー創出に注力していく。

株式取得は、NXHDの欧州持株会社の特別会社を通じて行う。取得価額は1267億5000万円程度の見通しだが、今後、カーゴ・パートナー社の業績が株式譲渡契約で規定された財務指標を達成することを条件に、最大832億5000万円が売主に対して支払われる。また、全63社の株式取得は、各国の競争法にかかる手続き完了などを踏まえ、今年11月から来年5月にかけて順次、実施される予定。

M&Aでメガフォワーダーに比肩する存在へ

NXグループは「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニーに成長する」ことを長期ビジョンに掲げ、創立100周年を迎える2037年に連結売上高3・5~4兆円の達成を目指している。その際、売上高のうち5割を海外で計上する計画。

そうした目標を実現するために、M&Aは欠かすことができない成長戦略のひとつ。とくにM&Aを通じて航空・海上フォワーディングの取扱物量を拡大し、欧米の「メガフォワーダー」と肩を並べることを戦略の柱に掲げており、今回のカーゴ・パートナー社の株式取得はこうした方針にも沿ったものだ。

NXHDの齋藤社長は本紙(2月21日号)のインタビューで、M&Aについて「現在もいくつかの案件を水面下で検討している」と述べた上で、「資金的な手当てとして、汐留の旧本社ビルの売却をはじめキャッシュを生み出してきた」と語っていた。
(2023年5月18日号)


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