日本郵便、国内BtoB物流事業を強化へ
日本郵便(本社・東京都千代田区、衣川和秀社長)は、国内BtoB物流事業の強化に乗り出す。4月1日付で、JPトールロジスティクス(JPトール)とトールエクスプレスジャパン(TXJ)の子会社2社の事業を再編するとともに、社名を「JPロジスティクスグループ」および「JPロジスティクス」に変更。これまで2社に分かれていたコントラクト事業(3PL)、フォワーディング事業、エクスプレス事業(特積み事業)を一体的に運営するとともに、社名変更により日本郵便の子会社であることを明確に打ち出す。現在、2社の売上高は合計で600億円強だが、今後数年以内に1000億円規模に増やすことを目指す。
3PLと輸送などを一体的に運営へ
再編では、JPトールのコントラクト事業とフォワーディング事業をTXJに移管し、TXJを「JPロジスティクス」に社名変更。TXJの主力事業である特積み輸送事業と合わせ、3事業を一体的に展開していく。
また、JPトールは「JPロジスティクスグループ」に社名変更し、物流戦略の企画・立案を担当していく。
JPトールとTXJはこれまでも、TXJのターミナル施設の上層階でJPトールが倉庫保管を中心とした3PL事業を行うといった連携体制にあったが、今後は3事業を一体的運営していくことでさらなるシナジーを創出し、成長を加速させていく。
日本郵便の子会社であることを明確に
出資体制も見直すことで、日本郵便がBtoB物流事業を強化していく姿勢を分かりやすく打ち出す。JPトールは2018年に日本郵便と豪トール社の折半出資で発足したが、日本郵便の実質的な100%出資子会社であるにもかかわらず、分かりにくい面があった。また、TXJは旧フットワークエクスプレス時代の09年にトールグループ入りし、その後、トール社が日本郵便に買収されたことで、日本郵便の子会社となっていたものの、そうした資本関係が見えづらくなっていた。
今回、社名から「トール」の名称を外すとともに、「JP」の名前を入れることで、日本郵便直轄の物流会社であることを積極的にアピールしていくとともに、意思決定のスピードも迅速化していく。
投資拡大でBtoB物流の成長を加速
日本郵便は経営計画「JPビジョン2025」において「国内BtoBビジネスの拡大」を主要施策に掲げている。郵便物の減少傾向が続く中で、BtoBとBtoC両面にわたる物流事業の拡大が今後の成長のカギを握っている。
JPトールは現在、トール社由来の3PL事業、フォワーディング事業などで売上高は年間60~70億円規模。一方、TXJは特積みトラック事業を中心に年550億円の売上高で、合計600億円強の規模となる。日本郵便は今回の〝直轄化〟を契機に、新会社への投資も活発化させる方針。具体的には、経年化などで建替期を迎えたTXJのターミナル施設の保管機能を強化していくことで、輸送と保管を一体化した事業などを展開していく。また、「2024年問題」などを控えて物流業界が再編期にあることを踏まえ、物流戦略機能に特化した「JPロジスティクスグループ」を中心にM&Aなども視野に入れていく。
(2023年2月16日号)