パレットの共同運用スキームを来春提言=国交省/物流連
国土交通省は19日、パレット標準化推進分科会第6回会合を開催した。構成員の日本物流団体連合会(物流連)が実施した物流企業から見たパレット普及に関する課題調査の結果概要を発表。調査結果を踏まえ、サイズと規格・仕様を標準化したパレットの共同運用スキームを提言した。また、会合では日本冷蔵倉庫協会と東京青果がパレットの利用実態を報告した。国交省は今後もヒアリングを行い、実現可能なスキームのあり方を検討。24年3月までにパレット循環スキームの構築に向けた提言をまとめる。
レンタル方式と共同使用方式を提案
物流連は2021年から物流標準化調査小委員会(座長=二村真理子・東京女子大学教授)においてパレット普及方策を検討し、このほど調査結果がまとまったことから、概要を国交省に報告した。物流連は調査結果を踏まえ、普及が進まない要因として、紛失・流出があることや、平面サイズが同じであっても厚さや二方差し・四方差しの違い、両面・片面の別、強度などで規格と仕様が異なることがあると指摘。サイズ・規格などを標準化したパレットを共同運用するスキームの実現が普及促進につながると提言した。
具体的には、「レンタルパレットを利用する方式」と「共同所有するパレットを利用する方式」を提案。レンタルパレット方式では複数のレンタルパレット会社が提供する標準化されたパレットを発荷主が利用し、着荷主まで一貫して活用。製品納入済みのパレットはレンタルパレット会社が回収し、発荷主が利用できるよう循環利用する。循環利用全体はどの発着荷主に対しても一貫してパレットの運用を行えるシステムを構築し、物流工程の円滑化を図る。このスキームでは複数のレンタル会社のパレットは各社のデポにそれぞれ回収される。
さらに、このスキームの発展形としてレンタル各社が個社のデポにおいて貸し出しと回収を行うのではなく、レンタル各社共同のプラットフォームが一括して貸し出し・回収を可能とする案も示された。
共有パレット方式では同じ業界の中で標準化したパレットを、業界全体で管理運営する組織が所有・管理するもの。すでに酒類などで実施されている「Pパレ共同使用」などを参考とした。発荷主は標準化パレットを業界の共同デポから調達し、輸送に利用。着荷主で納品が終わったパレットは共同デポに返却される。全体のパレットの流れは管理運営組織が調整する形となる。
冷蔵倉庫はパレット化による積載率低下を指摘
日本冷蔵倉庫協会は業界におけるパレット利用について報告。保管、再保管(倉庫間移動)、輸送などでパレットを利用しているが手荷役のケースもあると説明。パレット化のデメリットとして積載率の低下を指摘。積載率が3割下がることで必要車両が4割増える場合もあるとした。また、流通の川上(メーカー)から川下(卸・小売など)の意向が流通を主導するため、冷蔵倉庫側は貨物を差配する発着荷主ではないことも主張した。
東京青果は卸売市場でのパレット利用について報告。普及への阻害要因として、積載率の低下に加え、卸でのパレット積み替えの手間や市場内のパレット置き場不足を指摘。その上で、パレットの紛失・流出もうかがえることから、一貫パレチゼーションには仲卸・量販店などのパレット管理意識の醸成が必要だとした。
(2023年1月26日号)