富士フイルムG、関東のパーツセンターを船橋に集約
富士フイルムロジスティックス(FFL、本社・横浜市港北区、三ツ井忠社長)は9月をメドに、三井不動産ロジスティックパーク船橋Ⅲ(MFLP船橋Ⅲ、千葉県船橋市)で、富士フイルムグループのスペアパーツの統合中央倉庫として「中央パーツセンター」を本格稼働させる。同所には、現在複数拠点で扱う富士フイルムビジネスイノベーション(FB)と富士フイルム(FF)、富士フイルムメディカル(FMS)などのスペアパーツ在庫を集約するとともに、最新物流機器とSaas型のWMSを導入予定。倉庫の統合にとどまらず、輸配送も両社間で共同化し、物流のさらなる最適化を図る。
WMSの一本化で庫内作業の共同化を推進
「中央パーツセンター」はMFLP船橋Ⅲの3階(約1万4146㎡)に開設する。第1フェーズとして、今年1月に、FBのスペアパーツを東京都品川区八潮の拠点と、川崎市川崎区の「川崎パーツセンター」から移管した。第2フェーズとして、今年9月をメドに、FFとFMSのスペアパーツも川崎パーツセンターから集約し、本格稼働させる。その上で、23年度にかけてFFのグラフィックコミュニケーション事業部門のスペアパーツも埼玉県三郷市の拠点から統合する計画にある。
また、9月から10月にかけて、拡張性のあるSaas型のWMSに刷新し、FFおよびFBのアイテムを同一プラットフォームで扱える体制を構築する。これに伴い、両社の輸配送共同化も可能となることから、9月以降、中央パーツセンターを起点とする都内向けの発送から、段階的に共同配送をスタートさせる。
FF・FMSなど全てのスペアパーツ統合後における、中央パーツセンターの取扱アイテム数は14万点以上となる見込み。膨大なアイテムを効率的かつ安定的に出荷することを目的に、同所では庫内設備の自動化・省人化も進める。
具体的には、5月より自動倉庫ロボット「オートストア」を稼働(写真)。ロボット12台、ポート数4基、9707ビンで構成され、作業の効率化が難しいとされる出荷頻度B・Cレベルの中・小物品を格納する。オートストアには約1万1000アイテムを収納する予定だ。
出荷頻度Aレベルの小物品については、当初人手でのピッキング作業とするが、将来的に高速ピッキングラックを導入することも検討。このほか、行先別仕分けにおける作業の効率化に向けて、自動棚搬送ロボット(GTP)の活用も視野に入れる。併せて、倉庫内の横持ち移動への自動搬送機(AGV)の採用と追従型ピッキングカートの使用も予定し、両機器については今月から試験導入を開始している。
共同配送を実現し、効率化効果を拡大
複合機メーカー大手のFBでは、スペアパーツの配送ネットワークを構築しており、「定配」「緊急」「超緊急」の3分類で全国400ヵ所のデポロッカー、および顧客のもとで修理するカスタマーエンジニア(CE)へパーツをスピード輸送している。とくに都市部では自社専用配送網を構築しており、FBとFFのWMS統合後には、このネットワークにFFのスペアパーツも混載することで、トラックの積載率および稼働率の向上とサービスレベルの上昇につなげる。
富士フイルムグループでは、19年11月に米ゼロックスとの合弁会社・富士ゼロックス(現FB)を富士フイルムホールディングスの完全子会社としたことで、物流面におけるFFとFBの情報連携や共同化が進んでいる。グループの物流機能会社であるFFLを中心に倉庫や輸配送の集約および最適化とDX推進などの各種施策を展開しており、中央パーツセンター開設もその一環。21~23年度の中期経営計画内にグローバルで約80億円のコスト削減効果を見込む。
(2022年6月28日号)