燃料高騰で荷主に3件「働きかけ」=国交省・秡川自動車局長
国土交通省の秡川直也自動車局長(写真)は25日、記者会見を開き、燃料費の高騰への対策として昨年11月に設置した燃料費上昇に関する相談窓口について、「相談件数は徐々に増え、3月22日現在、累計19件となった。窓口に寄せられた案件などから精査を行った後、3件の事例について荷主に対して改善するよう働きかけを行った」と明かした。秡川局長は「燃料費は人件費と並んで事業コストの相当部分を占める。事業者が燃料費の上昇分を運賃に反映することを求めたにもかかわらず不当に据え置くことは下請法や独占禁止法違反(買いたたき)となるおそれがある」とし、改正貨物自動車運送事業法に基づく荷主に対する要請や勧告・社名公表の対象にもなるとあらためて強調した。
国交省は昨年11月、運賃交渉力が十分に備わっていないトラック事業者への支援策として、本省と地方運輸局・運輸支局に燃料価格の上昇に関する事業者向け相談窓口を設置。サーチャージ料金などを含めた運賃交渉を事業者が提案したのにも関わらず、正当な理由なしに荷主が交渉に応じなかった場合には、是正するよう働きかけを行うことを決めた。
今月22日までに国交省に寄せられた相談件数は全国累計で19件となった。そのうち3件の事案について荷主に働きかけを実施した結果、交渉が行われる方向となったとした。そのうえで、「燃料費高騰を受けて運賃交渉に取り組むため、相談窓口や国交省HP内の情報提供窓口を活用してほしい」と呼びかけた。
秡川局長は、コロナ禍の影響による事業者の廃業についても言及。トラックでは過去2年間の廃業届出件数は減少傾向にあるものの、依然として厳しい経営環境にあるとの認識を示し、各種の施策を通じての事業者支援を継続する考えを表明した。
(2022年3月31日号)