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東証新市場、物流の「プライム」移行は39社

2022.01.20

東京証券取引所が4月4日に実施する新市場区分への移行で、上場物流企業82社のうち39社が最上位の「プライム市場」に移ることが分かった。また、現在、1部に上場している52社のうちプライムを選ばなかった企業が13社あり、全体の4分の1にのぼることが明らかになった。今回、プライムを選ばなかった企業の中には、背伸びをすることを避けて現実的な選択を行うなど、冷静な判断が働いた面もあったようだ。

プライム移行は1部上場の75%にとどまる

東証は現在の1部、2部、ジャスダック、マザーズの4市場から、今年4月4日に「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場区分に変更。新たな3市場は、流通株式の時価総額や流動性、株主数、コーポレートガバナンスへの対応度などの基準によって分類される。

この中で、株式上場している82社の物流企業のうち、プライムに移るのは39社で、割合は約48%だった。全上場企業3777社のうち、プライムに移行するのは1841社で割合が48・7%であることから、ほぼ同程度の比率となった。

また、1部上場の物流会社52社のうちプライムに移行するのは39社で、比率は75%だった。これは約84%(2185社のうち1841社)がプライムに移行する全体の比率よりは低調となった。1部上場でプライムを選ばなかった物流企業は丸運、日本石油輸送、エスライン、明治海運、共栄タンカー、東陽倉庫、乾汽船、ケイヒン、川西倉庫、サンリツ、キムラユニティー、キユーソー流通システム、東海運の13社で、いずれもスタンダード市場を選択した。

「社内の負担が増す」との冷静な判断も

各社がプライムを選ばなかった理由は様々だが、プライムに上場することで企業の信用度が向上する一方、SDGsへの投資など上場維持のために必要となる労力などを総合的に勘案して判断した企業も少なくないようだ。キユーソー流通システムの西尾秀明社長は「(経過措置としてプライム市場を選択することも可能だったが)、見かけはよくても、中身が伴わなければ社内への負担だけが増す。今は足元を固めるためにもスタンダード市場を選択した。体制が整ったおりには、プライム移行も視野に入れる」とコメントした。

また、乾汽船はプライムとスタンドダードの両方の基準を満たしていたが、「総合的に検討した結果、スタンダード市場を選択した」としており、企業体力などに応じて現実的な選択を判断する企業が一定数あったことがうかがえる。

基準満たせず計画書提出は14社に

一方、選択した市場ごとに設けられた基準を、その時点で満たせていなかった場合、経過措置として改善に向けた計画書を提出することが必要だが、この計画書を提出している物流企業は14社だった。

内訳はプライムで丸和運輸機関、NSユナイテッド海運、中央倉庫、ファイズホールディングス、東洋埠頭、エーアイテイー、日本コンセプトの7社。スタンダードはゼロ、京極運輸商事、玉井商船、アサガミ、リンコーコーポレーション、鈴与シンワート、兵機海運の7社。

各社は今後、株式持ち合いや配当政策の見直しなどの対策を講じて、基準を満たすための計画の着実な実行が求められることになる。
(2022年1月20日号)


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