22年度国内輸送量は42・5億t=NX総研/貨物輸送見通し
NX総合研究所(1月4日付で日通総合研究所から社名変更、本社・東京都千代田区、永井裕社長)は12月26日、「2021年度の経済と貨物輸送の見通し」の改訂版を発表した。21年度の国内貨物輸送量は前年度比1・7%増の42億350万tとした。前回9月発表よりも輸送量は6380万t、前年比は1・6pt下方修正した。21年度上期は5%近く増加したものの下期は消費関連・生産関連貨物が堅調に推移する一方、建設関連が下押しし、トータルで1%強のマイナスとなり、年度全体では1・7%増と5年ぶりにプラスへ転換の見通し。
また、22年度の国内貨物輸送量は年度全体で42億5610万t、1・3%増と2年連続のプラスを見込んだ。同日開催したオンライン会見に出席した佐藤信洋プリンシパルコンサルタントは、上期は1・2%増、下期は1・3%増とそれぞれ予測した上で「22年度は個人消費の持ち直しの動きの中で、消費関連貨物は通期で1・4%のプラス。生産関連貨物は設備投資が加速し、鉱工業生産も堅調な中、4・7%増と伸びが期待できるが、消費関連・生産関連のいずれ19年度の水準には届かない」と説明。建設関連貨物は「大規模土木工事の執行が期待できない中、1%台半ばの減少となり、全体では1・3%増と2年連続のプラスとなる」と述べ、建設関連を除き、消費関連・生産関連を合わせた一般貨物に限定すると3・4%増と堅調に推移すると予測した。
22年度のJRコンテナは3年ぶりにプラス転換
22年度のJRコンテナは自動車部品やエコ関連の減少を受け4~6月期は前年割れ。7~9月期以降は前年度の輸送障害に伴う減少の反動などからプラスに転じ、年度全体では2・5%増と3年ぶりにプラス転換する見込み。一方、22年度のJR車扱は、天候に左右される可能性が高いものの、石油製品価格の高止まりが予測される中で、0・6%減と盛り上がりに欠ける展開の見通し。
22年度の営業用トラックは消費関連・生産関連貨物は堅調な動きが見込まれる一方、建設関連は公共投資や住宅投資の伸び悩みから低調に推移すると見込んだ。全体では2・2%増と21年度と比べて若干加速が期待される。
また、特積みトラックの輸送量については、21年度は個人消費や設備投資の増加を受け、3・2%増の6600万tと17年度以来4年ぶりにプラスに反転する見込み。続く22年度は、個人消費や設備投資がわずかながら加速する中、宅配便などを中心に1・5%増の6690万tと堅調に推移すると見込んだ。
「荷動き」は堅調な推移の見込み
製造業・卸売業の荷主を対象に12月初旬に行った国内向け出荷量「荷動き指数」調査の速報値も発表。21年10~12月実績は前期(21年7~9月)実績の「プラス6」から5pt上昇の「プラス11」となった。また、22年1~3月見通しは「プラス14」と前期(10~12月)の「プラス10」より4pt上昇すると予測。全体の荷動きは堅調な推移が続くものと見込む。
業種別に見ると10~12月実績は15業種のうち「木材・家具」「パルプ・紙」「化学・プラスチック」「窯業・土石」「鉄鋼・非鉄」「一般機械」「電気機械」「その他」「卸売業の消費財」の9業種がプラス、「食料品・飲料」1業種がゼロ水準、「繊維・衣服」「金属製品」「輸送用機械」「精密機械」「卸売業の生産財」の5業種がマイナスとなり、全体では前期(7~9月)と同様の傾向を示したが、1~3月見通しでは「食料品・飲料」がゼロ水準からプラス、「輸送用機械」マイナスからプラスに転じ、「金属製品」がマイナスからゼロ水準とプラスが1業種増えて10業種、横ばいが1業種。「卸売業の消費財」がマイナスに落ち込むものの、減少したのは5業種から4業種となり、全体では若干ながら上向きの傾向となる見通し。
(2022年1月6日号)