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ラルズ/東光ストア、配送業務に続き物流センター統合

2021.09.21

北海道でスーパーマーケット事業を展開するラルズと東光ストアの物流統合スキームが注目されている。両社は配送業務に続き、物流センターを一元化。北海道運輸局は両社の新しいスキームについて、トラックドライバーの長時間労働削減と効率化の効果を検証する実証事業を11月に行う。結果は北海道運輸局と北海道労働局が共催している「北海道トラック輸送における取引環境・労働時間改善地方協議会」で発表する。

ラルズの物流センターに物流機能を一本化

ラルズ(本社・札幌市中央区、猫宮一久社長)と東光ストア(本社・札幌市豊平区、楠美秀一社長)はともに北海道を中心にスーパー・総合小売事業を展開するアークスグループに所属する企業。札幌市を中心としたエリアにラルズは約70店舗、東光ストアは約30店舗を展開している。

従来、両社は北広島市でそれぞれ別の物流センターから各店舗に配送していたが、今年4月20日に同一グループとしてシナジー効果を高めるため配送業務を共同化。続いて物流センターの共同化に着手し、6月22日にラルズの物流センターに両社の物流機能を一元化。メーカーはセンターが共同化されたことを機に従来の店舗別小口納品から品目別総量納品に切り替えた。

ラルズと東光ストアはセンターに自動仕分け機と順序出荷を行う高性能の荷揃えシステム、自動段積み機などを導入。自動化・機械化により効率性向上を実現するとともに女性の作業者でも働きやすい環境を整備した。庫内作業の自動化に伴い店舗での荷物到着時の検品作業を廃止。ドライバーは店舗到着後の車両待機時間や検品の立ち合いが解消し、配送業務に充てられる時間が増加した。

配送時間・ルートの見直しでトラック稼働率も向上

配送時間も見直した。全店舗への一律納品を、近郊店舗については午前・午後の2回納品とし、地方店舗は午後納品に変更。これによりドライバーの深夜早朝出勤が解消されるとともに配送回数が増加した。配送時間・配送回数が増えることを受け、配送の仕組みも見直し、配送ルートについて、1日1回1店舗の配送から、近郊は1日2回、複数店舗に回り、地方は1日1回複数店舗に変更した。時間とルートの見直しにより必要車両は68台から26台に削減可能となった。配送は従来からエア・ウォーター物流(本社・札幌市豊平区、向出敏行社長)1社が担当しており、スムーズに新たなスキームに移行できた。

発荷主であるメーカーも従来は店舗別の小口出荷だったのを品目別の総量出荷に改めることで仕分け・積み込み作業を軽減できた。物流センターへの納品はメーカー各社が手配した車両で行っていたのを、店舗配送を終えたエア・ウォーター物流の車両が集荷する体制に変更。メーカーの車両手配や確保業務を削減するなど、発荷主側も大きなメリットを得られた。

ラルズと東光ストアは従来の配送体制での作業時間や車両稼働率などのデータを4~5月に計測しており、北海道運輸局とともに行う11月の実証実験では新スキームによる省人化・効率化の効果を定量的に確認する。同運輸局は検証結果を精査した上、次回の協議会で公表し、水平展開を図る考え。
(2021年9月21日号)


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