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標準パレット実現へ、官民の連携開始=標準化会議・パレット分科会

2021.09.14

官民物流標準化懇談会に設置されたパレット標準化推進分科会(座長=味水佑毅・流通経済大学教授)は7日、第1回会合をオンライン方式で開催した。今後数回の会合によりパレットなど物流器材の標準化に向けた具体策を定める。初会合では標準化に向けたプロセスを2段階で進めることを決めた。

第1段階では3月をメドに国交省が荷主企業を対象にパレット利用の実態調査を行い、現状把握した上でパレットサイズ・仕様や運用方法について標準化の方針を取りまとめる。
調査ではパレットの必要性、パレット活用が進まない理由、サイズが統一されていないことの問題点などを調べる。加えてパレット導入によるメリットとデメリットや導入コストの試算についてヒアリング調査も行う。
一方、物流事業者を対象に日本物流団体連合会(物流連)と日本倉庫協会が8月16日から今月10日までの期間に実態調査を実施しており、調査結果を来年3月末までに集約・精査する。その後、荷主と事業者それぞれへの調査結果を踏まえ、課題の洗い出しと実証実験を行い、サイズ・仕様の標準規格について基本方針を定める。

第2段階では基本方針に基づいた具体的な方策を検討する。現状では企業や業界ごとに異なる多様な規格のパレットが利用されているが、一定程度まで規格の種類を減らし、最終的にはJIS規格に定められた数種類のパレットにまで絞り込むことも想定している。

「平パレット」の標準化を先行的に検討

物流現場では「平パレット」「ロールボックスパレット」「シートパレット」などを中心に多様な利用形態がある。あらゆる種類のパレットについて同時に標準化を推進することは困難なことから、まずは平パレットでの標準化の推進方策を検討することとした。平パレットも企業や業界ごとに様々に異なる規格が多数あるため、まずは調査を通じて詳細を把握する。

実態調査後の基本方針の決定は迅速に進める方針。一方で委員からは「パレットの利用形態は様々であり、現場になじまない方策は結局のところ実施されない」との懸念もあることから十分な議論を行いながら検討を進める。

標準化だけでは物流効率化は実現しない

会合では日本パレット協会の加納尚美会長(日本パレットレンタル社長)が標準化に向けた現状と課題について報告した。加納会長は、パレットサイズの標準化だけにとどまっていては物流の効率化は実現しないと明言。標準化に加え、標準化されたパレットを社会で共有するルールや組織・制度づくりの両方が成り立つことで、パレチゼーションで得られる恩恵を社会全体で享受できると説明した。

また、加納会長はレンタル方式やプール方式、ルールの一本化など運用は異なっても「一定のルールや組織・制度で運用されるパレットは1種類が望ましく、ルールや制度は産業ごとに設けるのではなく、なるべく統一された方が経済合理性を発揮できる」とした。日本でパレットの標準化が進んでいない理由については、パレットのJIS規格制定が活発化される1970年以前から、すでに多くの種類のパレットが利用されていたことを指摘した。

目前に2024年問題、スピード感が必要

会議では国土交通省大臣官房審議官で物流政策を担当する岩月理浩氏と経済産業省商務情報政策局商務サービスグループ物流企画室長の中野剛志氏が挨拶。国交省の岩月氏は2024年4月の罰則付きのトラックドライバーの長時間労働上限規制の適用をはじめ、感染症に対応した非接触・非対面型物流の実現や、脱炭素化の取り組みおよびSDGsに対応したサプライチェーンの構築を図る必要性を指摘。総合物流施策大綱(2021年~25年度)が課題とした物流標準化のうち「先行的にパレットの標準化を議論し、合意された施策に真剣に取り組んでいく」と意気込みを示した。経産省の中野氏は物流の需給ひっ迫が「経済成長のボトルネックとなってはならない」と強調。スピード感を持ってパレット利用の普及促進を図るため「荷主企業の経営層に対して働きかけを行っていく」と表明した。
(2021年9月14日号)


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