JR貨物/福山通運、福山レールエクス4号が運行開始
JR貨物(本社・東京都渋谷区、真貝康一社長)と福山通運(本社・広島県福山市、小丸成洋社長)は22日、安治川口駅(大阪市此花区)で福山通運専用ブロックトレイン「福山レールエクスプレス4号」の出発式を執り行った。同列車は23日より、土日を除く週5日、安治川口駅~盛岡貨物ターミナル駅間を運行する。運転距離はJR貨物が設定するブロックトレイン(専用列車)で最長の1088㎞となる。
福山レールエクスプレス4号は、福山通運4本目のブロックトレイン。1列車あたり20両編成で、31ftコンテナ40個が積載可能。安治川口駅を出発した列車は郡山タで4両、仙台タで8両を降ろした後、盛岡タに到着する。同列車の運行によるCO2排出削減量は年間1万3153tとなる。
出発式ではJR貨物の真貝社長と福山通運の小丸社長による基本協定書への調印が行われた後、真貝社長が「福山レールエクスプレスは2013年に第1号が運行を開始し、4列車合わせたCO2排出削減量は年間8万3043tに上る。物流業界を取り巻く環境変化に対する同社の先見性を持った取り組みにしっかりと応え、長距離運行となる中、安全安定運行はもちろん、お客様に選んでいただけるサービス向上に努めたい」と挨拶。
また、小丸社長も「当社の鉄道モーダルシフトは福山レールエクスプレス4号の稼働で大型トラック328台分の運行に相当する。CO2削減による環境負荷低減に積極的に取り組んできたが、今後もドライバーの労務改善や輸送時の交通事故防止、渋滞緩和など諸課題の解決につながるモーダルシフトを推し進め、JR貨物との協力を一層深めながら、安定輸送の実現で最適なサービスを提供したい」と期待を寄せた。
続いて、テープカットが行われ、小丸社長、真貝社長のほか、福山通運の長原永壽取締役専務執行役員、JR貨物の𠮷澤淳取締役兼常務執行役員、飯島勲内閣官房参与、国土交通省近畿運輸局の飯田修章交通政策部長が登壇した。その後、安治川口駅長による合図とともに、記念列車が出発した。
“危機的な状況”を前に「先を読んで決めた」
福山通運では、2013年に1本目のブロックトレインとなる「福山レールエクスプレス1号」を東京タ~吹田タ間で運行を開始し、15年に2本目(東京タ~東福山駅)を、17年に3本目(名古屋タ~福岡タ)を稼働している。
出発式終了後、小丸社長はメディアに対し、4本目のブロックトレインを開始した経緯について「令和6年問題は非常に厳しく、長距離輸送の手段はフェリーかJRコンテナしか選択肢がなくなるだろう。これは大変危機的な状況であり、そのときになって慌てても仕方がなく、コンテナが不足する事態も想定される中で、先を読んだ経営判断として今回の運行を決めた」と説明。
その上で、ブロックトレインのさらなる利用拡大については「輸送のバランスを見ながら検討していく」としながら、「月間の拘束時間293時間を上回らないようにするには、700㎞以上はワンマンでトラック運行できないのではないか」との考えを述べた。
真貝社長も「小丸社長の先見性と先進性にブロックトレインが応えることができ、環境負荷低減、労働力不足という大きな問題へのソリューションを提供できたことを嬉しく思う」とし、「コロナ下においてECや小口貨物の輸送需要が増す中、引き合いは多く寄せられており、最大限可能なダイヤ設定に取り組みたい」と増設への意欲を示した。
(2021年3月25日号)