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セイノーHDが下期、運行便の自社化と減便を継続

2020.12.01

セイノーホールディングス(本社・岐阜県大垣市、田口義隆社長)は2021年3月期下期、輸送事業における運行便の減便と自社化をさらに進めるとともに、荷動きが好調な荷主市場への営業活動を強め、物量の確保を図る。11月20日にWeb・電話会議方式で行われた21年3月期第2四半期の決算説明会で田口社長は「一番大きなテーマは運行便のコストをどれだけ減らせるか」とコメント。西濃運輸の小寺康久社長も「toCに流れた荷物が戻るとは見ておらず、回復を待たずに荷物を取りに行く」との考えを示した。

21年3月期上期における輸送事業は、日当たり物量が前年比12・4%減となり、とくに全物量中の46%を占める製造業の物量が13・1%減と落ち込んだ。㎏単価は2・7%伸長し、最新タリフ(18・19年タリフ)の適用率は、過去3年以上運賃改定のない荷主企業に対する置き換えと新規顧客への適用を進めたことで、前年同期比で15pt上昇の54%となった。

運行便の自社化率は今年1月から自車・協力会社の便を減らしたことで75・4%となり、前期末より1・7pt上昇。21年3月期上期における1日当たりの減便数は月を追うごとに増え、平日累計で1万4288便、土曜累計で6000便に上り、計10・1億円の運行コスト削減につながった。
物量確保への取り組みではプラスチック・化学・金属品など落ち込みが緩やかな分野に対し、「物量を求めていった成果が表れた」と小寺氏は評価した。

その上で、下期においては輸送事業の物量予想を今年5月発表の6・7%減から5・7%減へと修正。単価は19年タリフ導入から1年が経過したことを加味して、伸長幅を2・3%から1・4%へ見直した。

下期はさらなる運行便の減便と自社化を進め、積み合わせの見直しで浮いた自車トラックを協力会社のコースへ投入するとともに、集配業務から運行業務への職種変更により人材も確保する。この結果、下期は自車比率を77・4%まで引き上げ、減便数を平日累計2万6300便、土曜累計7500便とし、計16億9000万円のコスト削減効果を見込む。

物量確保策としては、今年9月にリリースした、「セイノー輸送ナビPro」などを武器に、好調な業種への営業活動を強める。同サービスは、パレット商品や特殊形状貨物などの輸送時にも、パレットサイズから1車貸し切り単位まで、セイノーグループの輸送サービスをWebから簡単に依頼できるもの。10月には既に5000件の利用があり、このうち400件が新規顧客だった。

DX化も進め、上期末時点のEDI化率84・7%を、23年3月期末には96%まで引き上げる。EDI化で得た配達先データをもとに配達コース組みを自動化し、ドライバーが変更しても定時に到着する仕組みの構築や、配達時間メールサービス、配達先のQRコード化による仕分けの自動化などにより、CS(顧客満足)とES(従業員満足)の向上につなげる。

中期計画に掲げる「ロジのセイノーへの進化」に向けては“荷主企業のパートナー”として業種別ソリューション営業の展開やファクトリー機能の提供を推進。ロジ・トランス拠点として新設する龍ケ崎支店と移転新設予定の深川および名古屋西支店では庫内オペレーションを自動化し、24時間365日稼働させる「無人物流」を実現する。また、提携関係にある独DBシェンカーとの連携も深める。

グループ輸送会社ココネットでは、今年8月に株式を取得したリビングプロシードとともに、幹線輸送とギグワークを組み合わせた「LCC宅配モデル」を構築。置き配対応により、価格競争力を持つ“ラストワンステップ”の配送サービスを可能とする。田口社長は「宅配大手の運賃が高いと考える荷主企業は相当数いる。宅配会社のインフラで対応できない要求に応えていきたい」と展望した。
(2020年12月1日号)


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