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国交省が「標準的な運賃」を原案通り告示

2020.04.28

国土交通省は24日、トラック運送業の「標準的な運賃」を告示した。審議にあたった運輸審議会が14日に国交大臣に対し、標準的運賃は原案通りを適当とすると答申したことを受けてのもの。自動車局では同日、標準的運賃の背景や計算方法を解説する内容の通達を貨物課長名で発出。荷主の理解促進に向け、「新型コロナウイルス感染拡大の状況など現下の情勢を見ながら、事業者と荷主を対象に、『ホワイト物流』推進運動をはじめとするあらゆる機会を活用して周知活動を展開する」としている。

法令遵守し、持続的な事業運営を可能に

標準的運賃は、改正貨物自動車運送事業法に基づき設けられた制度。トラックドライバーに年間960時間の罰則付き時間外労働の上限規制が適用される2023年度末までの時限措置との位置づけで、運用を通じてトラック運賃の引き上げを後押し、それを“原資”にドライバーの労働条件や処遇を改善することが期待されている。

トラック運送事業者が法令を遵守し、持続的な事業運営が可能になるための「参考となる運賃」としてタリフ形式で提示。策定にあたっては、ドライバーの賃金を全産業並みに押し上げ、コンプライアンスを確保した事業を継続できることを前提とし、適正な原価に適正な利潤を加えたものを基準としている。

原案に対しては、実勢運賃よりも高水準であることから事業者や荷主の一部から実効性を疑問視する声も挙がっていたが、24年4月からの時間外労働規制適用に向け、早急な環境整備が必要であることや、中小トラック事業者が荷主・元請けとの運賃交渉力が弱いことなどを踏まえた結果、告示の意義が理解され、このほど原案通りの告示に至った。

貸切り想定し、距離制と時間制で提示

貸切(チャーター)を想定し、距離制と時間制の2パターンを用意。上限・下限は設けず、統一的な運賃とした。地域差を踏まえ、地方運輸局ブロックごとに策定。距離制では小型車(2t)・中型車(4t)・大型車(10t)・トレーラ(20t)の車種別に設定。時間制運賃表は「8時間制」と「4時間制」に大別して定めた。

料金は別建てで収受、待機料は30分ごと

運賃以外の各種料金については運賃表とは別に規定。冷凍・冷蔵車や休日運行、早朝・深夜運行は2割増しとなる。待機時間料は30分を超える場合に30分単位で車種別に設定。積み込み・取り降ろし・附帯業務などの料金は運賃とは別に収受することとし、高速道路料金、フェリー料金は実費を収受する。燃料サーチャージも別途定める。
(2020年4月28日号)


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