ダイキンが統合配送管理システムで新サービス
ダイキン工業(本社・大阪市北区、十河政則社長)では、「ダイキン統合配送管理システム(D‐TMS)」の機能を拡充した。顧客がパソコンやスマートフォンを使って注文内容や配送情報を直接閲覧できる新サービスを4月からスタート。新型コロナウイルスの感染拡大対策として政府が推奨しているテレワーク下でも有効に利用できる。顧客の商流が多段階にわたっている場合、その間で発生していた問い合わせや回答、伝達が不要になるため、商流全体の工数削減につながる。
問い合わせ工数削減とCS向上が狙い
D‐TMSは、ドライバーが作成する配送計画における予定時間情報やGPSによる車両の位置情報をダイキンの営業部門と電子的に共有するシステム。一般的な配送管理システムが配送業務上の「車両管理」に主眼が置かれているのに対し、D‐TMSではダイキンの営業部門、さらにはその先の顧客と情報基盤を共有することで、「問い合わせ工数の削減」や「CS(顧客満足度)向上」を目指している。
同システムでは配送計画や配車は自動化するものの、当日の状況に応じてドライバー自身による柔軟な変更が可能。ダイキンがドライバーに貸与したGPS機能付きのスマホの画面には当日の配送先と配送予定時間のほか、配送先での注意事項も表示。ダイキンの営業部門は、前日時点の配送予定、ドライバー情報、配送当日の予定時間と配送状況をリアルタイムに照会。物流部門ではドライバーの位置情報も地図上で把握できる。
2018年3月にまず東日本で導入し、同5月から全国展開。現在、首都圏でのカバー率は7割を超えている。運用後、営業部門への配送情報の“見える化”が進み、物流部門への問い合わせ件数が大幅に減少。営業部門は問い合わせに対して即答ができるため、顧客からは「回答待ちのストレスがなくなった」と評価されているという。従来手作業で立案していた配送計画が自動化され、ドライバーの負荷軽減にもつながっている。
顧客自身がパソコン、スマホで閲覧可能に
4月1日からは、販売店・荷受人向けに「配送お問い合わせサービス」を開始。具体的には、配送ごとに発行されたQRコードを読み取るか、またはWeb上の問い合わせ画面に直接入力することで、注文内容の事前確認や到着予定時刻等の配送情報の閲覧が可能。到着時刻をはじめ配送に関してダイキンに都度問い合わせする顧客の負担を減らせる見込みで、空調のトップシーズンに向けPRを進めていく。
今後は、より多くの顧客が同サービスを利用できるようシステム運用のカバー率拡大が課題となる。「独自のシステムを持つ特積み会社や共配会社では、D‐TMSと連携させるために別途システム開発が必要で、工数や費用面で負荷がかかってしまう。カバー率を上げるために、各社共通で利用可能な情報プラットフォームの構築やシェアリングなど、業界を挙げたシステム化に期待したい」(物流本部)としている。
(2020年4月28日号)