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国内向け荷動き指数を下方修正=日通総研/物流短期動向調査

2019.05.07

日通総合研究所(本社・東京都港区、青山陽一社長)はこのほど、2019年3月調査の「企業物流短期動向調査」(日通総研短観)を発表した。これによると、国内向け出荷量の19年1月~3月実績(見込み)は、増加が前期比(18年10月~12月)9pt減の19%、減少が8pt増の27%となり、トータルで17pt低下。荷動き指数は速報値の「マイナス6」から2pt減の「マイナス8」に下方修正した。19年4月~6月見通しは増加が17%、減少が23%となり、荷動き指数は速報値の「マイナス4」を「マイナス6」と予測。いずれも消費増税があった14年以来となる下げ幅となった。

業種別の荷動き指数(全15業種)では、18年10月~12月実績のプラス指数は12業種だったが、19年1月~3月実績のプラスは輸送用機械と窯業・土石の2業種のみ。マイナス指数は繊維・衣服、化学・プラスチック、電気機械、木材など9業種となり、前期実績からの推移では15業種全てが低下した。4月~6月見通しのプラス指数は金属製品、食料品・飲料、輸送用機械、消費財卸の4業種で、マイナスは繊維・衣服、木材・家具、電気機械、生産財卸、化学・プラスチックなどの10業種がマイナス指数。前期実績からの推移では、消費財卸、生産財卸、化学・プラスチック、金属製品など6業種が上昇し、繊維・衣服、木材・家具、窯業・土石、一般機械、パルプ・紙など9業種を低下と予測した。ほとんどの業種で荷動きの悪化が見られる。

地域別の荷動き指数(全9地域)では、1月~3月実績のプラス指数は九州・沖縄と東海、中国の3地域で、マイナス指数は北海道、東北、関東などの6地域。前期実績からの推移では、9地域全てで低下した。4月~6月見通しのプラス指数は中国の1地域のみで、残り8地域は全てマイナス指数を見込んだ。前期実績からの推移では、北海道、北陸・信越、東北、関東、中国の5地域が上昇し、九州・沖縄、東海、四国の3地域を低下としたが、1月~3月では全地域で低下となったため、その反動分も含まれると予想できる。

特積みトラック、鉄道コンテナは上昇を見込む

1月~3月実績と4月~6月見通しの輸送機関利用動向では、6機関全てをマイナス指数とした。前期実績からの推移では、1月~3月の上昇が鉄道コンテナのみで、残る一般トラックで、内航コンテナ・RORO船、宅配便、国内航空、特別積み合わせトラックの5機関は低下となった。4月~6月見通しでは、特別積み合わせトラックと鉄道コンテナが上昇、横ばいが一般トラック、宅配便、内航コンテナ・RORO船、国内航空の3機関を低下と予測した。鉄道コンテナは、昨年の西日本豪雨等の大規模災害による山陽線寸断の影響から回復し、上昇傾向にあることがうかがえる。

1月~3月実績と4月~6月見込みの外貿コンテナと国際航空の輸出入では、4機関全てがマイナス指数となり、前期実績からの推移でも全機関で低下した。特に国際航空では、1月~3月実績の輸出の指数が「マイナス9」、4月~6月見込みが「マイナス14」となり、輸入は1月~3月実績が「マイナス9」、4月~6月見込みが「マイナス15」と大幅な低下を見込んだ。国内以上に国際貨物の荷動きの悪化が顕著であることがわかる。

外貿コンテナと国際航空の輸出方面別の荷動きは、1月~3月実績および4月~6月見通しで対アジア、対北米、対欧州全ての指数がマイナスを推移。このうち、対アジアの外貿コンテナの荷動き指数は、18年10月~12月実績が「プラス5」、19年1月~3月実績が「マイナス3」、4月~6月見込みが「マイナス7」となり、国際航空は18年10月~12月実績が「プラス2」、19年1月~3月実績が「マイナス10」、4月~6月見込みが「マイナス14」となった。中国の景気後退の状況が輸出荷動きに影響されていると思われる。

在庫量と営業倉庫利用の動向では、原材料在庫量、製品在庫量、営業倉庫保管量全てで1月~3月実績と4月~6月見通しはプラス指数となったが、1月~3月間の原材料と製品の生産量が減少したため、18年10月~12月と比較すると全体的に指数は低下した。これについて日通総研の佐藤信洋プリンシパルコンサルタント「生産量が減った上での在庫量の減少はよい状況とは言えない」と指摘した。

一般・特積みトラックの運賃・料金は大幅増を予測

1月~3月実績と4月~6月見込みの運賃・料金の動向では、全機関がプラス指数を推移。特に、一般トラックの1月~3月実績は「プラス39」と前期と比べて一時的には減少したものの、4月~6月見込みでは「プラス46」と大幅な増加を予測。特別積み合わせトラックも1月~3月実績の「プラス36」が4月~6月見込みでは「プラス43」と上昇した。4月~6月は運賃等の改定時期と重なるためトラックの運賃上昇圧力は一段と強まる見通しだ。

1月~3月実績の物流コスト割合では、増加が44%、減少が5%で動向指数は「プラス39」。4月~6月見通しでは、増加が47%、減少が6%で動向指数は「プラス41」を見込んだ。

佐藤氏は「世界経済や内需の減速の影響を受けて、輸出入の荷動きが低下しているが、トラック運賃は上がると予想する荷主が多い。(ドライバー不足が背景にあるとはいえ)今までなかったようなパターンだ」と説明した。
(2019年5月7日号)


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