トラックのスポット運賃が“異常値レベル”に高騰
スポット利用を中心にトラック運賃の高騰が続いている。7月に発生した西日本豪雨被害で貨物列車の運休が続いていることが主な原因だが、「それだけでは説明がつかない」との指摘もあり、業界関係者からは「ドライバー不足の加速で、トラック需給がもう一段タイトになった」「異常値レベル」との声も出始めている。燃油費の高騰もあり、需要が高まる年末に向けてさらに運賃水準が上昇するとの懸念も高まっている。
前回の消費増税時を大幅に上回る水準に
全日本トラック協会と日本貨物運送協同組合連合会(日貨協連)が発表した9月の求荷求車情報ネットワーク「WebKIT」成約運賃指数は、前月比6pt増、前年同月比17pt増の「136」となり、調査開始以来最も高い数値となった。最高値更新は前月(8月)の「130」に続き2ヵ月連続となる。
この指数は2010年4月時点を「100」としたもの。つまり、10年4月のスポット運賃よりも36%上昇していることを意味する。
ちなみに、これまでの昨年12月の「127」で、消費税が8%に増税された直前の16年3月でも「126」だった。当時は増税前の駆け込み需要でトラック需給が逼迫し、トラック不足が初めて顕在化した時だった。現在の水準はその時と比べても10pt高くなっている。
ここにきてスポット運賃指数の大幅上昇したのには、西日本豪雨被害によるJR貨物の列車運休でトラックへの代替輸送需要が急増したことが背景にある。当初は関西~九州間など西日本エリアを中心にトラックのチャーター需要が高まったが、トラックが西日本に集中したことで、その他のエリアでも車両がつかまりづらくなり、全国的に運賃水準が高まっていったと考えられる。
ただ、貨物列車の運休だけでここまで運賃水準が高騰することは考えにくいとの指摘もある。今年度に入ってからの成約運賃指数の推移を見ると、4月以降、各月における最高値を更新し続けており、ドライバーや車両不足感が「もう一段高まった」(関係者)との見方が出ている。
年末繁忙期に向け運賃水準はさらに上昇へ
そうなると、懸念されるのが年末繁忙期に向けてのさらなる運賃水準の上昇だ。貨物列車の運休に伴う代替需要は解消されるものの、年末に向けた需要の高まりや燃油費の高騰、さらには昨年11月の運送約款改正による押上げ効果もあり、スポット運賃はさらに上昇基調で推移するとの見方が強い。
日通総合研究所がさきごろ発表した運賃・料金の動向(速報値)によると、一般トラックの運賃指数は7~9月実績で「38」(値上がり40%、値下がり2%)で、10~12月見通しではさらに「42」(値上がり43%、値下がり1%)まで上昇する。特積みトラックの傾向も同様で、7~9月実績の指数は「36」(値上がり37%、値下がり1%)、10~12月見通しでは「37」(値上がり39%、値下がり2%)まで高まる。
今後、スポットを中心に庸車コストがさらに上昇すれば、大手事業者を中心に〝逆ザヤ〟を懸念した業務量コントロールも進み、さらに輸送需要が逼迫することも考えられそうだ。
(2018年10月11日号)