サンリツが米国で調達部品物流、商社機能を融合
サンリツ(本社・東京都港区、三浦康英社長)では、米国で調達部品物流のビジネスモデルを構築した。現地の工作機械メーカー向けに製造部品の調達、販売、物流までの工程を一貫して手掛けることで、物流と商社機能を融合させた付加価値を提供。適正在庫を実現するとともに、倉庫でのアッセンブリー、工場ラインへのJIT(ジャスト・イン・タイム)納入などを通じて、メーカーの製造原価の低減に貢献する。今後、対象部品の拡大を図るとともに、好調な米国事業を支える人材育成にも力を入れる。
倉庫内でアッセンブリー、品質チェックも
サンリツでは2010年に米国ロサンゼルスに現地法人SANRITSU LOGISTICS AMERICA Inc.(SLA=写真)を設立した。それ以前の海外拠点は中国のみで、アジアでは現地の代理店との提携により、日本からの輸出貨物をメインに取り扱っていたが、日本および中国発米国向けの輸入貨物を取り込むため、米国への進出を決めた。
当初フォワーデング業務からスタートしたが、転機となったのが14年。現地の工作機械メーカーが増産のために新工場を開設したのを機に、木枠梱包からスチール梱包への切り替えを提案したことが受け入れられ、15年から本格的にスタート。規格がないスチール梱包は梱包設計に高い技術やノウハウが必要で、サンリツとしての差別化につながった。
第2弾として注力しているのが調達物流。新工場では、日本および現地から部品を調達しており、海外では工場内が煩雑となり、部品が溢れてピッキングが非効率になるなど、在庫管理に課題を抱えていた。そこでサンリツではメーカーが製造に専念できるように、部品の調達にかかわる新たなソリューションを提案した。
工場には組み立てに必要な最低限の部品を保管するスペースを確保してもらい、調達部品はJIT納入により工場面積における生産性を向上させる。毎日のように変化する生産日程に変動対応することで付加価値を創出する。
生産計画に合わせて物流だけでなく部品の調達、アッセンブリーおよび品質管理の全工程をサンリツが請け負うことでメーカーの工数が大幅に削減され、現地では割高な部品加工等のエクストラチャージを抑えられる。
顧客密着型でモノづくり、製品知識を熟知
このスキームにより、サンリツでは部品の調達から工場ラインへのJIT納入までに対応する新たなビジネスモデルを確立できた。三浦社長は「当社のサービスは顧客密着型。調達部品物流のビジネスモデルについても、モノづくり、製品知識を熟知していないとできないサービス」と強調する。
なお、サンリツの18年3月期の米国の売上高は7億1400万円と前期比67・5%増の大幅な伸びとなった。19年3月期に関しては3・4%の減収を予想するが、三浦氏は「まだまだ需要はあり、将来的に規模を拡大していくことも期待できる。事業拡大に向けた基盤となる人材育成に注力したい」と語る。
(2018年7月12日号)