事業者数が制度開始以来、初の減少に=総務省
総務省はこのほど、特定信書便事業の現況を公表した。それによると、2022年度末(23年3月末)時点での特定信書便事業者は583者となり、21年度末から3者減となった。03年のスタート以来、参入事業者は着実に増加を続けてきたが、初めて減少に転じた。
また、22年度の総引受通数は約2000万通で前年度比0・3%減、売上高総額も前年度比1・1%減の約181億円となるなど、特定信書便事業の成長が頭打ちの状況になりつつある。
制度開始20年で事業者数が減少へ
特定信書便事業は、03年に施行された信書便法(民間事業者による信書の送達に関する法律)により、それまで国が独占してきた信書の送達に民間の参入が可能になったことからスタート。この間、一般信書便事業への参入はないものの、特定信書便への参入は着実に増え続けてきた。
だが、22年度末時点での参入事業者数は前年度比3者減の583者となり、事業開始以来、初めて減少に転じた。役務別では、1号役務(3辺合計が73㎝以上または重量4㎏以上の大型信書便サービス)が521者(前年度比2者増)ともっとも多く、次いで3号役務(料金800円超の高付加価値サービス)が302者(同6者減)、2号役務(3時間以内配達の急送サービス)が98者(6者減)となっている。なお、複数の役務を提供する事業者があるため、役務別事業者数と特定信書便事業者数は一致しない。
引受通数、売上総額も2年連続のマイナス
22年度の総引受通数は約2000万通で、前年度比で約6万通減、0・3%減となった。引受通数も制度開始以来、増加の一途をたどってきたが、21年度以降、2年連続での減少となった。役務別では1号役務が約1454万通(1・9%増)となったが、2号役務は約53万通(30・3%減)と大幅減となったほか、3号役務も約493万通(1・8%減)と前年割れとなった。
22年度の売上高総額も2年連続での減少となった。22年度は181億円で、前年度から約2億円、1・1%減少した。ピークだった20年度の198億円からは約17億円の減少となった。役務別では、1号役務が約103億2000万円(約6000万円増)となった一方、2号役務は約2億3000万円(約2000万円減)、3号役務が約75億5000万円(約2億5000万円減)となり、引受通数、売上高とも1号役務だけが前年を上回った。
事業者の75%が貨物運送業
参入事業者の業種別の割合では、貨物運送業が436者と約75%を占め、次いで警備業が38者、障がい者福祉事業が17者、建物サービス業が17者、卸売業・小売業が10者の順。経営形態では、会社形態(株式会社、合資会社および合同会社)が507者で全体の86・9%を占めた。それ以外では協同組合が40者(6・9%)、社会福祉法人が15者(2・6%)、NPO法人が7者(1・2%)となっている。また、個人での参入も11者(1・9%)ある。
さらに、会社形態での参入事業者を資本規模別に見ると、507者のうち87%にあたる441者が資本金1億円未満となっており、なかでも1000万円以上~1億円未満が70・2%(356者)を占めた。資本金10億円以上の大企業も15者(3
・0%)あった。
地域別の参入状況では、東京が134者でもっとも多く、次いで大阪61者、愛知38者、神奈川32者、福岡29、者、北海道19者、兵庫18者と続く。なお、47都道府県のうち高知県だけが依然として参入事業者ゼロとなっている。
(2023年10月12日号)