荷主の4割が「トラック確保しやすい」=JILSアンケート
日本ロジスティクスシステム協会(JILS、遠藤信博会長)は20日、新型コロナウイルスの感染拡大による物流・サプライチェーンへの影響に関する第3回アンケート調査報告の結果を発表した。国内物流領域では貨物量の減少を背景に荷主の約4割が「トラックが確保しやすくなっている」と回答。一方国際物流領域では、航空・海上便のスペース確保に苦慮ほかコスト上昇が報告されている。
物流企業の36%が「売上」を優先
アンケートによると荷主企業の75%、物流企業の82・4%が、雇用の確保や従業員の安全確保、組織体制の維持・見直し、在宅ワーク体制や業務のデジタル化等の「人材・組織」の課題解決を優先的に取り組んでいると回答。
また、荷主企業の約3割が「生産」(27・9%)、「需給」(27・9%)領域に優先的に取り組むなどサプライチェーン維持に注力していることがうかがえた。一方、物流企業の36・3%が、営業活動の維持、利益の維持・拡大といった「売上」の領域を優先し、コロナ禍による変化への対応に迫られているものとみられる。
前回の第2回調査(2020年6月16~23日)時と比べ、「調達領域において影響がない」と回答した荷主企業の割合が32・2%から54・4%へ、「販売領域において影響がない」と回答した荷主企業の割が13・8%から42・6%に増加。コロナ禍による需要変化の混乱が残りつつも、柔軟に対応する荷主企業も増えているものと思われる。
自動化・ロボ化・デジタル化投資が加速
国内の物流領域では荷主企業の41・2%、物流企業の58・2%が、「大きな変化がある」とした。具体的には「トラックが確保しやすくなっている」が荷主企業で42・9%、物流企業で35・8%と目立つ。貨物量の減少を訴える声も多い。国際物流では、「コストが上昇」「船便や航空便を確保できない」「輸送のリードタイムが長くなっている」等の課題が発生しているとの回答が多く寄せられている。
また、サプライチェーンにおける自動化・ロボット化・デジタル化への投資および投資への検討状況について、荷主企業の41・8%、物流企業の53・8%が、「変化がある」と回答。「変化がある」と回答した企業のうち、荷主企業の82・1%、物流企業の81・6%が、「自動化、ロボット化、デジタル化への積極的な投資、もしくは投資への検討が加速している」と回答しており、こうした分野への投資が加速している傾向が伺えた。
なお、アンケートはメール案内によるWeb回答方式。20年12月21日~21年1月8日にかけてJILS会員企業の荷主および物流企業の会員680人を対象に実施し、有効回答数は159件(回答率23・4%)だった。
(2021年1月26日号)