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トクヤマ、製・販一体で物流最適化実現へ

2020.09.03

トクヤマ(本社・山口県周南市、横田浩社長)は中期経営計画(2016~20年度)の重点課題として、「グループ経営の強化」を掲げ、物流関連会社間の連携強化を推進する。7月には、物流子会社であるトクヤマロジスティクスへの物流アウトソーシングを停止し、業務の大半をトクヤマの物流グループに集約。企画から契約、物流オペレーションまでを一元的に管理、運営する体制にシフトした。今後は、製造や販売など他部署を交えて物流最適化を実現し、グループ全体のサプライチェーンの高度化を目指す。

製品の9割が海上輸送

トクヤマは化学品やセメント、医薬品原薬・中間体、プラスチックレンズなど幅広い事業を手掛ける。製造拠点は周南市と茨城県神栖市の2ヵ所に構えており、中でも周南市の徳山製造所の総敷地面積は191万㎡。需要地である東京や大阪方面への長距離輸送は、大量輸送の観点から、主に徳山製造所が立地する徳山下松港から海上輸送しており、グループ全体の輸送手段の約9割に上る。

16年以降はマレーシアにおける事業不振から、物流をはじめとしたコスト削減を実施。17年に一連のコストダウン施策が一巡したため、18年からは少子高齢化による将来の労働力不足対応と顧客への安定的な製品供給の維持に向け、輸送手段の確保に注力している。従来は、コストを重視した物流ネットワークの構築を図るため、割安となる航路については外部にアウトソーシングしていたが、現在は顧客へ確実に製品を供給するため、自社専用船(写真)で輸送。さらに、パートナー会社との連携を強化し、協力関係を深めている。

また、省人化の取り組みでは、パレット化の推進や荷役方法の改善を進め、パートナー会社の労働負担軽減につなげている。すでに、同社製品の8割以上はパレット化を実現しており、今後はさらなる輸送効率化に向けた取り組みを実践していく。

グループ全体のサプライチェーンの高度化を目指す

トクヤマロジの売上高の約8割は、トクヤマからの物流アウトソーシング業務で、残りの約2割は自社で車両や船舶を保有し、内航運送と一般貨物運送事業を展開。トクヤマでは、物流組織体制の強化を目的に、7月にトクヤマロジへの物流アウトソーシングを停止し、本体の物流グループを増強した。労働力不足や環境規制により、需給が一層引き締まると予想される物流環境へ対応するため、製造や販売部門が物流と連携する体制に移行し、グループ全体のサプライチェーンの高度化を目指している。

トクヤマの佐藤卓志物流グループリーダーは、「17年から物流を“機能”として捉え、サプライチェーンの高度化を目指してきたが、実現するためには作り方や売り方にまで切り込んでいく必要がある」と指摘。「トクヤマ本体に物流業務を引き戻し、製造・販売部門などと対等な立場で一連の業務のムダを洗い出し、物流工程を最適化する」と強調する。

また、10月1日付で物流子会社の徳山海陸運送を存続会社とし、トクヤマロジを統合する組織再編を実施する。トクヤマロジが保有する物流資産を徳山海陸運送に一体化し、効率的に運用していくことが目的。徳山海陸運送の売上高の6~7割が港湾運送事業や内航運送、一般貨物運送などのトクヤマ以外の外販で、今後はトクヤマグループのプロフィットセンターとして、さらなる事業の拡大を図る。

バース予約システムの導入を検討

トクヤマは19年12月に「ホワイト物流」推進運動の自主行動宣言を提出し、その取り組み項目として「荷主側の施設面の改善」や「物流システムや資機材の標準化」などを掲げている。「荷主側の施設面での改善」では、物流拠点にバース管理システムの導入を検討しており、現在、パートナーの運送事業者の意見を聞きながら導入に向けた議論を重ねている。佐藤氏は「仮に待機時間が発生する場合でも、ドライバーが施設構内で待機するのと会社やコンビニの駐車場で待機するのとでは、労働環境が変わってくる」と説明し、「倉庫側は車両が来る順番が可視化されると、荷揃えなど庫内業務が圧倒的に改善し、労働力の削減につながる」と導入に前向きな姿勢を示す。

「物流システムや資機材の標準化」では、サイズが異なる特殊パレットをT11型パレットや14型パレットの規格に統一した。従来は、納品先で特殊パレットから顧客が指定するT11型パレットや14型パレットに積み替える必要があったが、規格を統一し、積み替え作業の時間短縮と労働負荷の軽減に寄与している。
(2020年9月3日号)


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